
私は2013年にトリプルネガティブ乳がんと診断され「FEC」療法を受けてがんを克服しました。
初めて「FEC」療法を受けて、この薬が効くのか不安でした。
FEC療法ってどんな治療?
「FEC」とは3種の抗がん剤を組み合わせた治療です。(3週間毎に4回を投与)
- F フルオロウラシル
- E エピルビシン『赤い薬』
- C シクロフォスファミド
がん細胞を攻撃する強い薬なので、その分副作用も出やすいですが、効果が期待できる治療法です。
FEC療法の治療スケジュールと治療にかけた思い
FECは3週ごとに1回の投与を繰り返し、計4回(約3ヶ月)行われました。
1回の点滴のあと、次の治療までの3週間は副作用との闘いになります。
入院してふたつめの抗がん剤治療「FEC」が始まります。
私はこの治療に全てをかけていました。もしこの薬が効果がなければ再発リスクが高くなるからです。
「FEC」初投与〜想像を超えた衝撃の副作用

抗がん剤治療では、薬が変わるごとに最初の投与は入院して行なうことになっていました。それは副作用の強さを確認し、安全に治療を進めるためです。
私はすでに何度か入院を経験していたので、病棟の先生や看護師さんとも気軽に話せるようになっていて、少し安心感がありました。
でも、このときはまだ、FEC副作用がどれほど強いものか全く想像もできていませんでした。
そして投与当日
まずは水分補給と吐き気どめの点滴からスタート。
そして、いよいよ抗がん剤「FEC」投与が始まりました。
FECの中でも特徴的なのが「赤い薬」といわれるエピルビシン。
この薬が体に入った瞬間、私は突然動けなくなりました。
「ん?なんか変な感じ」と思ったのも束の間、一気に気分が悪くなり、立ち上がることさえできなくなったのです。
その瞬間、全身がひどい筋肉痛になったように痛みに襲われました。そして強烈な吐き気。
何も口にできなくなるどころか、起き上がることすらできませんでした。

「これは無理かもしれない」。

抗がん剤が体に入ると起き上がることも困難に
頭の中にそんな言葉が浮かび、心が折れそうになりました。
副作用が強すぎて残り3回も全て入院に…
本来、FEC療法は2回目以降は外来で投与する予定でした。
でも、私の副作用があまりにも重かったため、主治医と相談のうえ、残り3回の投与も全て入院で行うことになリました。
入院期間は毎回4〜5日間。

後3回もあるのに「耐えられるかな?」
不安でいっぱいになりましたが、先生や看護師さんが親身になって支えてくれたおかげで、「なんとか完走したい」という気持ちが芽生えてきたことを覚えています。

赤い薬が体に入ると動けなくなりました
FECの副作用乗り越えた日々
FECの副作用は人よって違いますが吐き気、倦怠感、脱毛はほぼ確実に出ると言われていました。

私の場合、治療開始から5日目までは特に強く、入院して点滴を受けるほどの状態でした。
退院後も続いた副作用
退院後、自宅に戻ってからも約10日間は強い副作用に苦しみました。
筋肉痛 | 体を動かすのが辛く、常に痛みを感じていました。 |
食欲減少 | 何を食べても美味しく感じず、工夫をして食べ物を摂取しました。 |
吐き気 | 匂いに敏感になり、不快な匂いを感じると吐き気を催しました。 |
頭痛 | 長時間続く頭痛に悩まされました。(ロキソニン服用) |
この頃が一番体重が落ちていた時期だったと思います。正直、家族の協力なしでは生活できない状態でした。
少し元気になるのは、次の投与が始まる1週間ほど前。
副作用が少し落ち着くのは、次の抗がん剤投与の1週間ほど前。

この期間にできるだけ栄養を摂り、体力を回復させることを意識しました。
それは白血球が減ると治療を受けれなくなるから。
治療が予定通りに進まなければ、がんに対する効果が下がる可能性もある。
だから「できるだけ食べて、治療を続けれる維持しなければ」と思っていました。
先の見えない治療の中で、何度も心が折れそうになりましたが、
「治療を受けられることに感謝しなきゃ」とも思いました。
2回目の「FEC」投与〜恐怖と絶望〜
2回目の投与も入院で受けることになりました。
入院生活にはもう慣れていたけど、やっぱり抗がん剤が体に入ることが怖い。
前回の副作用があまりにも辛かったから「また、あの苦しみがくるのか」と思うと治療前から気持ちが重くなりました。
そして2回目の投与
いつものように、水分補給→吐き気どめ→FECの点滴
「どうか前回よりも楽でありますように…」と願いながら投与を受けました。

FEC療法は入院で
- 全身がひどい筋肉痛のような痛みで動けない
- 吐き気が止まらず、何も口にできない
- 体がだるくて、ただベッドで横になるしかない
ところが、前回よりもさらに強い副作用が襲ってきました。「もうこの治療を続けるのは無理かもしれない…」

そう思った瞬間、涙が込み上げてきました。
「もう無理…」そう思った私を救った、先生の一言とエコー検査

FECの副作用があまりのに辛くて、私は思わず先生に「もう無理です」と伝えてしまいました。
すると先生が、笑顔でこう言ってくれました。「じゃぁ、エコー検査をやってみましょう」
そのときは「今の状況で検査して何が変わるんだろう…?」と思っていました。
でも、この検査が私にとって治療を続ける大きな希望になるなんて、想像もしていませんでした。

エコー検査をしてくれた先生に感謝
診察室でエコー検査。先生の衝撃の一言!
診察室に入り、いつものようにエコー検査が始まりました。
先生がモニターをずっと見つめながら、慎重にがんのあるところをチェックしていきます。
そして、突然先生が言ったんです。
「がんが消えている可能性がありますよ!」
「えっ??」思わず耳を疑いました。「がんが消えてる?」
その瞬間、嬉しさで涙が出そうになりました。

本当に「効果があったんだ」
「この苦しい治療にも、ちゃんと意味があったんだ!」
そう思うと、今までの辛さが一気に報われたような気がしました。
FEC療法の目的と効果(腫瘍が小さくなる確率)
FEC療法はがんを攻撃し、腫瘍を小さくすることを目的としています。特に手術前に行う「術前化学療法」として使われることが多いです。
- 腫瘍を小さくして、手術で完全取り除きやすくする
- 目に見えない微小ながん細胞を減らす
- 転移のリスクを下げる
FEC治療を受けた人の50%〜80%の確率で、腫瘍の縮小が確認されています。
特にトリプルネガティブ乳がんやHER2陽性乳がんは、化学療法が効きやすいと言われています。
そしてFEC療法の後に、手術を受けた人の10%〜30%で「病理学的完全寛解(PCR)=手術でがんが消えている状態が確認されています。
「FEC」の辛さを乗り越えて実感した確かな効果
先生の言葉を聞いて改めて思いました。

「やっぱり術前抗がん剤を選んでよかった」
副作用が辛すぎて、何度も「もう無理」って思ったけど、効果が目に見えることで、治療を頑張るモチベーションがぐっと上がったんです。
「よし、残りの2回も頑張ろう」そう思えたのはエコー検査のおかげでした。
FECはきつい治療だったけど、ちゃんと効果があると実感しました。
FEC治療の費用(入院治療の場合)
私の場合、副作用が強く出たため入院治療を受けることになりました。
抗がん剤(FEC)薬剤費 | 約15,000~30,000 |
点滴・診察・検査費用 | 約10,000~20,000 |
吐き気止め・副作用対策薬 | 約5,000~10,000 |
入院費(1日約10,000~20,000円) | 約30,000~100,000 |
合計 | 約60,000~160,000円 |
4回分の合計(3割負担の場合)24万〜64万
注)高額医療制度を使うと外来・入院どちらも所得によって違いはありますが軽減されます。
治療が始まると、想定外のことが起こる場合があります。
私は民間保険に加入していたのでとても助かりました。
「FEC」完走!完全寛容を目指して
FE C療法は、全4回でしたが、副作用があまりにも辛くすべて入院での投与となりました。

それでも耐え抜いた先に希望が見えました。
完全奉公(病理的にがんが消えている状態)を目指し、残りの「FEC」も乗り越えました。
辛い治療を続けるためには、目標を持つことが大切です。
私の場合「この治療が終わったら絶対に温泉に行く」と決めていたことで、頑張る力が湧いてきたのだと思います。

そして、効果が見えたことで最後まで頑張ることができたと思います。
もし術後に抗がん剤をしていたら、目に見える効果がわからず、ここまでモチベーションを保てなかったかもしれません。
「辛いけどやる意味がある」それを実感できた治療でした。
抗がん剤治療は「副作用がある=効いている」というわけではなくて薬の反応には個人差があります。
15話に続く…。
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