2013年8月初旬、私は乳がんの治療として、術前抗がん剤治療を受けることになりました。最初に使った薬は「パクリタキセル」です。
これから抗がん剤治療を受ける方の中には、
「副作用はどんな感じなのだろう」
「髪はいつから抜けるのだろう」
「しびれや味覚障害はあるのだろう」
と、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、私が実際に受けたパクリタキセル治療3か月の流れや、副作用として感じた脱毛・しびれ・味覚の変化、そして「つらい日はつらいままでいい」と過ごした日々の葛藤について、私自身の体験として記録します。

不安な気持ちを、少しでも整理したくて書き留めていました。
初めてのパクリタキセル投与|「やっとがんと闘える」という安堵と見えない不安
私の場合、初回の投与は1泊入院で行われ、大きな問題なく終わったことで安堵があった一方で、術前抗がん剤の目的(がんを小さくして手術につなげる)や、今後の「週1回・合計12回」という投与予定を聞き、これから始まる見えない副作用への不安も同時に抱えていたことを覚えています。

治療の流れを聞きながら、少しずつ現実を受け止めていきました。
主治医からは、「抗がん剤でできるだけがんを小さくし、手術につなげていきましょう」と説明を受けていました。
検査を重ねて治療開始を待っていた私にとって、その日はようやく一歩前に進める日でもありました。

治療の流れを自分なりに整理していくうちに、少しずつ「今の私に必要な治療なんだ」と受け止められるようになっていきました。
入院中に強い副作用が出なかったため、次回からは外来の化学療法室で投与を受けることになりました。

不安は消えなくても、「治療が始まった」と感じた日でした。
パクリタキセルの副作用体験|少しずつ感じた体の変化
副作用は初回から一気に出たわけではなく、回数を重ねるごとに少しずつ体の変化として現れました。
投与前に主治医から「筋肉痛や関節痛、吐き気、食欲不振、手足のしびれ、白血球減少、脱毛などがある」と聞いていたおかげで、心の準備ができ、慌てすぎずに対応することができました。
次々と挙げられる症状の名前を聞くのはもちろん怖かったです。
でも今振り返ると、「あらかじめ知っておくこと」は私にとって大切な準備だったと感じています。
ここからは、私が3か月間の治療中に実際に経験した副作用について、ひとつずつ記録していきます。

副作用は一度にではなく、少しずつ日常の中に現れてきました。
手足のしびれ|ペットボトルのふたが開けにくくなった日
投与を始めて3回目から4回目あたりから、手足の指先にジンジン、ピリピリとした違和感が出始め、やがてペットボトルのふたが開けにくくなるなど、何気ない日常動作ができなくなる怖さを感じました。
私の場合は、自己判断せず主治医や看護師さんに相談し、投与中に冷却用のグローブで手足を冷やす対応をしてもらいました。
最初は「少ししびれるな」という程度でしたが、だんだん細かい動作がしづらくなっていきました。
それまでは何気なくできていたことが、思うようにできなくなる。その小さな変化に、抗がん剤の副作用を実感しました。

いつも通りできていたことが難しくなり、副作用を身近に感じました
味覚障害と食欲不振|「食べなきゃ」と無理をしない工夫
実際の治療中、私の場合は苦味を強く感じるようになり、普段食べていたものが食べにくくなりました。
体力をつけるために「食べなきゃ」と思うほど苦しくなったため、普段通り食べるのをやめ、スムージーやスープなど「今の自分が食べやすい形」に変えて少しずつ口にしました。
1回の食事量は減りましたが、食事の時間もきっちり決めすぎず、食べられそうなタイミングで口にすることを優先しました。

食べる量よりも、今の体に合う形を探すことを大切にしました。
| スムージー | 野菜や果物はスムージーにすると、のどごしがよく、飲みやすく感じました。 |
| スープ | 肉や野菜はスープにして、無理なく食べられるように工夫しました。 |
「何とか食べなければ」と思いすぎると、それだけで苦しくなってしまいます。
食べられない日が続くときや体重が大きく減るときは、我慢せず医療者に相談してみてください。
白血球減少|治療が予定通り進まないことへの戸惑い
パクリタキセル治療中、白血球の数値が下がり、1度だけ予定していた抗がん剤治療が延期になりました。
そのときは「一歩止まってしまった」ように感じて不安になりましたが、体の状態を見ながら無理なく進めることの大切さを学びました。

主治医からは、血液検査の結果や体調を確認しながら進めることが重要だと説明を受けました。
当時の私は焦りましたが、今振り返ると、自分の体を守りながら続けるための大切な調整だったのだと思います。

予定通りに進まないことも、体を守るための大切な判断でした。
脱毛のショック|つらい日は「つらいまま」で過ごした日々
私にとって、脱毛は精神的にとてもつらい副作用のひとつでした。
治療開始から2〜3週間ほどたった頃、お風呂で手にまとまって髪が抜け、頭では分かっていても涙が出るほど大きなショックを受けました。

手のひらに残った髪を見て、治療の現実を強く感じました。
最初は、枕につく髪の量が増えたように感じた程度でした。
しかし、「やっぱり本当に抜けるんだ。この先、私はどうやって過ごせばいいんだろう」と思うと、不安とショックで胸がいっぱいになりました。
まつ毛・眉毛・体毛の変化と気持ちの守り方
髪だけでなく、まつ毛や眉毛、体毛も少しずつ減っていき、鏡に映る自分が変わっていく悲しさがありました。
私は元気に見せるためではなく、自分の気持ちを少し守るためにウィッグや帽子、眉メイクを活用しました。
まつ毛が少なくなると目にゴミが入りやすくなったり、眉毛が薄くなると顔の印象が変わったりして、気持ちが沈む日もありました。
特別なことではありませんが、「今日はこれで外に出られそう」と思える小さな工夫が、私を少し支えてくれました。

外見を整えることは、私にとって心を守るための小さな支えでした。
医療用ウィッグや帽子の準備については、別の記事でも詳しく書いています。
もし今、準備を考えていて不安な方がいらっしゃれば、必要なときだけ参考にしていただけたらうれしいです。
無理に前向きにならなくていいという実感
脱毛していく時期は、泣いた日も鏡を見たくない日もありましたが、私は無理に強くなろうとはしませんでした。
つらい日は、つらいままでいいのだと実感していきました。
「髪がなくなる」ということは、見た目が変わるだけでなく、自分らしさが失われていくように感じる出来事です。
前向きに受け止められる日ばかりではありませんでした。

不安な気持ちも、悲しい気持ちも、自然なことだと思います。
その中で、自分の気持ちが少し楽になる方法を見つけていければ、それで十分だと私は思っています。

強くなれない日も、そのままの自分で過ごしてよいと思えるようになりました。
治療後、少しずつ戻ってきた髪
脱毛しているときは「本当にまた髪は生えてくるのだろうか」と不安でしたが、治療が終わり、時間はかかったものの産毛のような髪が生え始め、「ここまで来たんだ」と安堵することができました。
もちろん、髪の戻り方や時期には個人差がありますし、すぐに元通りになるわけではありません。
くせが出たり、髪質が変わったように感じたりもしました。
それでも、少しずつ髪が戻ってくる様子を見るたびに、ホッとしたことを覚えています。

小さな変化でも、私には大きな安心につながりました。
治療中に私を支えてくれた小さな工夫と、相談できる安心感
不安な日々の中で、自分でコントロールできる小さな対処法を取り入れたこと、そして決してひとりで抱え込まずに医療者を頼れたことが、私の大きな支えになりました。

小さな準備やメモが、不安な治療の日々を支えてくれました。
こまめな水分補給(※持病がある方は要確認)
治療中は、1日1.5L〜2Lを目安に、水やお茶など自分が飲みやすいもので無理なく水分を摂るようにしていました。
毎日きっちり量を守るというより、飲めるときに少しずつ飲むようにしていました。

数字にこだわりすぎず、体が受けつけるタイミングを大切にしていました。
水が飲みにくいときはノンカフェインのお茶に変えるなど、自分の体調に合わせて続けることが大切だと感じました。
不安な症状はひとりで抱え込まず主治医や看護師へ
抗がん剤治療中は、自分ひとりで何とかしようとしなくていいのだと思います。
つらいときや不安なときは、我慢せずに必ず主治医や看護師さん、家族に頼っていいのだと実感しました。
私自身も何度も不安になりましたが、サプリメントのことやしびれへの対処など、気になることはその都度、主治医や看護師さんに確認するようにしていました。

迷いや戸惑いを受け止めてもらえるだけで、気持ちは少し落ち着いていきました。
パクリタキセル治療を終えて|つらいと言っていい、そして次の治療へ
パクリタキセル治療の3か月を振り返ると、楽な治療ではありませんでした。
脱毛、しびれ、味覚の変化、白血球の低下。
ひとつひとつの副作用に戸惑いながら、そのたびに落ち込んだり、不安になったりしました。
でも、その中で私が感じたのは、つらいときは「つらい」と言っていいということでした。
不安なことは、主治医や看護師さんに聞いていい。
自分ひとりで抱え込まず、周りに頼っていい。
そう思えたことは、治療中の私にとって大きな支えでした。
パクリタキセル治療を終えたあとも、治療はまだ続きました。
ひとつの治療を終えた安堵はありましたが、「次はどんな副作用が出るのだろう」という新たな不安もありました。
それでも、自分なりに工夫し、周りに助けてもらいながら、私は治療の最初の3か月を過ごしました。
この記事が、これから治療を受ける方や、今まさに副作用に不安を感じている方にとって、「自分だけではない」と思えるきっかけになればうれしいです。
次回は、初回入院のあと、外来で抗がん剤治療を受けるようになってからのことを書いています。
入院ではなく通院なら少し楽になるのかなと思っていた私を待っていたのは、外来治療だからこその待ち時間や、思っていた以上の体力的なしんどさでした。
第12話はこちらから↓
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