結論:髪が抜ける前に「試着と情報収集」まで済ませておくと、心の負担が軽くなります

髪が抜ける前の準備は、心を守るための小さなお守りになります。
抗がん剤治療を受けると決まったとき、多くの方が最も強い不安を感じることのひとつが「脱毛」ではないでしょうか。
「本当に抜けるのかな」
「どんなウィッグを選べばいいか分からない」
そんな不安を抱えながら、毎日を過ごされているかもしれません。
抗がん剤による脱毛は、使うお薬の種類や治療内容によって、起こり方や時期に大きな個人差があります。
それでも、治療が始まる前、あるいはまだ髪があるうちにウィッグの情報を集め、できれば「試着」まで済ませておくことをおすすめします。
あらかじめ準備をしておくだけで、いざ髪が抜け始めたときの焦りやパニックを和らげやすくなるからです。

この記事では、抗がん剤治療を控えている方に向けて、焦ってウィッグを購入しなくても済むための「試着と情報収集のすすめ」と、後悔しない選び方のポイントをお伝えします。
なぜ、抗がん剤治療の前にウィッグ準備を始めるべきなのか?
「まだ髪があるのに、わざわざウィッグを見に行くのは気が重い…」
そう感じるのは、ごく自然なことです。
しかし、可能な範囲で早めの段階で動いておくことには大きなメリットがあります。
脱毛が始まる時期と個人差について(※主治医への相談を第一に)
一般的に、抗がん剤治療による脱毛は、治療開始から1〜3週間後から始まることが多いと言われています。
初めは少しずつ抜け落ち、次第にまとまって抜けるようになるなど、症状の進み方にも個人差があります。
ただ、これはあくまで目安です。
お薬の種類によっては脱毛が起こりにくいものもありますし、逆に早く始まるケースもあります。
そのため、まずは「自分の受ける治療では、どの程度の脱毛が予想されるのか」を、主治医や病院の看護師、薬剤師にしっかり確認することが一番のスタートラインです。

脱毛の時期や程度は人それぞれ。まずは医療者に確認することが大切です。
体調と心に余裕があるうちの行動が、先の安心につながる
では、なぜ「脱毛が始まる前」の準備が大切なのでしょうか。
それは、実際に髪が抜け始めると、想像以上の精神的なショックを受けることが多いからです。
さらに治療が始まれば、吐き気やだるさといった副作用で、外出してウィッグをゆっくり選ぶ体力的な余裕がなくなる可能性もあります。
体調が優れない中で、「早くなんとかしなきゃ」と焦ってインターネットで手当たり次第に買ってしまうと、自分に合わないものを選んでしまうこともあります。

脱毛のショックや治療中のつらさがあるからこそ、元気なうちの準備が心の支えになります。
体調が安定していて、精神的にもまだ余裕がある今のうちに「どんな種類があるのか」「自分にはどんなものが似合うのか」をフラットな気持ちで見ておく。
それだけで、「髪が抜けても大丈夫」という心の準備ができ、治療に向かうストレスをひとつ減らすことができるのです。
焦って購入する必要はなし!まずは「試着と情報収集」から

試着は購入ではなく、自分に合うものを知るための第一歩です。
「準備が必要なのはわかったけれど、ウィッグって高そう…」
「お店に行ったら、そのまま買わなきゃいけないの?」
そんな不安から、つい準備を後回しにしてしまう方も多いと思います。
ですが、最初から「買うこと」を前提にする必要はありません。
準備の第一歩は、あくまで「試着と情報収集」だけで十分だからです。
最初から高額なウィッグを買わなくていい理由
医療用ウィッグには、数千円の手頃なものから、数十万円する高品質なオーダーメイドまで、さまざまな種類があります。
初めてウィッグを探すとき、「やっぱり高いものを買わないといけないのかな」とプレッシャーを感じるかもしれません。
しかし、自分がどのようなウィッグを使いやすいのか、どのくらいの頻度で使うのかは、実際に治療が始まり、生活の中で使ってみないと分からない部分も多いものです。
そのため、まだ「自分にとっての基準」がない段階で、いきなり高額なウィッグを焦って購入する必要はありません。

焦って購入する前に、まずは種類や価格を知ることから始めても大丈夫です。

試着を通して相場や品質の「基準」を知っておけば、後から手頃な価格のウィッグをネットで探す際にも、比較しやすくなるというメリットもあります。
必ずチェック!自治体の「ウィッグ購入助成制度」

購入前に助成制度を確認しておくと、費用面の不安を減らせる場合があります。
ウィッグの費用面で不安を感じている方に、必ず知っておいていただきたいのが自治体の「助成制度」です。
がん患者の方の就労や社会参加を支援する「アピアランスケア(外見ケア)支援」として、自治体によってはウィッグや胸部補整具の購入費を助成する制度が設けられています。

ただし、この助成制度には注意点があります。
- 制度の有無や助成内容は、お住まいの地域(都道府県・市区町村)によって異なる
- 購入前に申請が必要な場合と、購入後の領収書で申請できる場合がある
- 助成の対象となるウィッグの条件(医療用に限るなど)が定められていることがある
せっかくの制度も、知らずに購入してしまっては利用できない場合があります。
だからこそ、ウィッグを購入する前に「自分の住んでいる地域に助成制度はあるか」「申請にはどんな書類が必要か」を調べておくことが大切です。
これも、立派な「事前の情報収集」です。
助成が受けられると分かるだけで、金銭的な不安が和らぎ、心に少し余裕が生まれるはずです。
市区町村のホームページや、病院の相談窓口(がん相談支援センターなど)でぜひ確認してみてください。
試着・比較で失敗しない!情報収集で見ておきたい4つのポイント
いざウィッグのカタログを見たり、お店で試着をしたりする際、「種類が多すぎて、何を選べばいいか分からない」と迷ってしまうかもしれません。
そこで、ウィッグを比較する際に必ず確認しておきたい「4つの判断基準」をまとめました。
このポイントを事前に知っておくことで、自分に合ったウィッグを見極めやすくなります。

自然さ・フィット感・肌当たり・サポートを確認しておくと、選びやすくなります。
| 確認ポイント | チェックしたい内容と理由 |
|---|---|
| ①自然さ(見た目) | ・つむじや分け目の人工肌が自然に見えるか ・髪のツヤが不自然にテカテカしていないか 【理由】外出時の安心感に直結します。特に頭頂部を上から見られたときの自然さは重要です。 |
| ②フィット感(サイズ) | ・頭を振ってもズレないか ・締め付け感が強すぎないか ・サイズ調整用のアジャスターは付いているか 【理由】脱毛の進行や髪が伸びてきた際など、時期によって頭のサイズ(周囲)は変化するため、アジャスター等で細かく調整できるものが安心です。 |
| ③肌当たり(素材) | ・内側のネットや縫い目がチクチクしないか ・通気性がよく、蒸れにくい素材か 【理由】脱毛中の頭皮は非常にデリケートで敏感になります。直接肌に触れる部分の優しさは、長時間使い続けるうえで最も大切なポイントです。 |
| ④購入後サポート | ・サイズ調整やカットのサービスはあるか ・メンテナンス(シャンプーや縮れ直し)の相談ができるか 【理由】使い始めてから「前髪が長かった」「サイズが変わった」といった悩みが出ることがあります。アフターフォローの有無を確認しておくと安心です。 |
これらのポイントは、インターネットの画面上やカタログの写真だけでは分かりにくい部分も多いです。
だからこそ、実際に目で見て触れる「無料試着」や、店舗での相談を活用して、ご自身の感覚で確かめてみることが大切になります。
【役割別で迷わない】ウィッグの選択肢と私の体験談
ウィッグには価格帯や用途に応じてさまざまな選択肢があります。
すべてを同じ基準で比較しようとすると、「結局どれがいいの?」と迷ってしまう原因になります。
そこで、ウィッグを「比較基準を知るためのもの」「長く使う本命」「割り切って使う予備」という3つの役割に分けて整理しました。

それぞれの活用方法と、私の実体験をお伝えします。
①【比較基準を知る】無料試着で品質や相場を体感する
まず最初のステップとして活用したいのが、大手メーカーが提供している「無料試着」や「無料相談」です。
これは「すぐに買うための場所」ではなく、先ほど挙げた自然さ、フィット感、肌当たりといった「良いウィッグの基準」を自分の肌で知るための入り口としての役割を持ちます。
高品質なウィッグに実際に触れ、専門のスタッフから手入れの仕方やサイズ調整の話を聞くことで、インターネットの画像だけでは分からない相場感や品質の基準が明確になります。
基準が持てれば、後から通販などで手頃な価格のものを探す際にも、「この価格ならこのくらいの品質だろう」と冷静に判断できるようになります。
例えばレディスアデランスでは、個室での無料相談や試着体験が案内されており、初めての方でも周りの目を気にせずゆっくりと情報を集めることができます。

初めてのウィッグ選びは、個室でゆっくり相談できるだけでも不安がやわらぎます。
このようなサービスは、情報収集の選択肢のひとつになります。
②【長期的な安心感】質の高い医療用ウィッグを選ぶ(私の体験談)
「比較基準」を知った上で、メインとして長期間使用する「本命」のウィッグを選ぶ段階です。
私の場合は、治療期間中ずっと身に着けるものだからこそ、品質と購入後のサポート(長期的な安心感)を重視し、約15万円の医療用ウィッグ(ジュリア・オージェ)を購入しました。

自然なウィッグに出会えたことで、「また外に出てみよう」と思える気持ちにつながりました。

仕事で人に会う機会が多い方や、見た目の自然さに一切妥協したくない方にとっては、品質の高い医療用ウィッグをメインの1着として準備しておくことが、心強い支えになることがあります。
③【予備・自宅用】低価格ウィッグを活用する
一方で、数千円〜1万円台で購入できる低価格なウィッグ(いわゆるファッションウィッグに近いもの)も、ひとつの選択肢です。
ただし、これを高額な医療用ウィッグと全く同じ「自然さ」や「着け心地」で比較すると、期待外れに感じてしまうかもしれません。
低価格ウィッグは、「メインのウィッグを洗って乾かしている間の予備」や、「ちょっと近所のコンビニまで行くときの自宅・近所用」として、用途を割り切って使うのに便利です。
インターネット通販などでも手軽に購入できるため、気分転換に少し違う髪型や髪色のものを試してみたい場合や、洗い替えの2着目、3着目の候補として検討するのもよいでしょう。

予備用や自宅用として、手頃なウィッグを使い分ける方法もあります。
準備したウィッグを長持ちさせる「5つ」のお手入れ方法

毎日の扱い方で、ウィッグのきれいな状態を保ちやすくなります
ウィッグは、使い方やお手入れによって状態が変わります。長くきれいに使うためには、毎日の扱い方も大切です。
基本的な「5つ」のお手入れ方法をご紹介します。
- 使用後は、毛の流れに沿ってやさしくブラッシングする
- 専用のシャンプーで、こすらずやさしく洗う
- 洗った後は、風通しのよい場所で自然乾燥させる
- 直射日光を避け、スタンドなどにのせて保管する
- 必要に応じて、専用スプレーで静電気や絡まりを防ぐ
ただし、人毛・人工毛・ミックス毛など、素材によってお手入れ方法は異なります。
購入時には、必ずお店の説明や取扱説明書を確認してください。
Q&A|抗がん剤前のウィッグ準備でよくある不安
ここまでお読みいただき、それでもまだ少し不安が残っている方へ。
ウィッグ準備に関してよくいただく疑問をまとめました。
A. 治療が始まる前、体調が安定しているうちに見ておくと安心です。
可能であれば、脱毛が始まる前に試着まで済ませておくと、いざという時に慌てずに対応しやすくなります。
A. 価格には幅があります。
人毛タイプやオーダーメイドは高価になることがありますが、人工毛や人毛ミックスなど、比較的選びやすい価格帯のものもあります。
大切なのは、価格だけでなく、つけ心地や使いやすさ、自分が安心して過ごせるかどうかだと思います。
A. 不安な場合は、予約時に「まずは試着と相談だけしたい」と伝えておくと安心です。
今回紹介しているレディスアデランスでも、無料相談や試着体験が案内されていますので、ご自身のペースで情報を集めてみてください。
まずは「制度確認」と「試着先探し」から始めれば大丈夫
髪を失うことは、想像していた以上につらいことでした。
鏡を見るたびに、病気を突きつけられているような気持ちになった日もあります。
でも、ウィッグがあったことで、私はまた外に出る勇気を持つことができました。
ウィッグは、ただ髪を隠すためのものではありません。
治療中の自分を守るもの。
外に出る勇気をくれるもの。
「少しでも自分らしく過ごしたい」という気持ちを支えてくれるもの。
焦らず、自分のペースで大丈夫です。
まずは、今日できる小さな一歩として、「お住まいの自治体の助成制度を調べてみる」か、「近くで無料相談ができる店舗を探してみる」ことから始めてみませんか?

治療中でも、自分らしく過ごしたい。そんな前向きな一歩を支えてくれるのがウィッグでした。
「どんなウィッグがあるのか」「自分に合うものはあるのか」を知っておくだけでも、少し安心につながります。
これから治療を始める方が、少しでも不安を減らして、自分に合った準備ができますように祈っています。
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note(夫との8ヶ月の記録)
夫の食道がんがわかってから見送るまでの日々を、私なりの言葉でまとめた集大成記事です。

きゃんばぁば|乳がんサバイバー/家族の闘病サポーター
乳がんを経験し根治。妹の膵がん、夫の食道がんを家族として支えた実体験をもとに「患者と家族、両方の視点」で発信しています。
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