【第8話】「なぜすぐ治療できないの?」乳がん告知後の焦りと自分のサブタイプを知ってできた心の準備

乳がん体験記

※この記事は、私自身の乳がん治療の体験をもとに書いています。
検査や治療方針は、病状や検査結果、医療機関によって異なります。不安なことがある場合は、必ず主治医や医療者に相談してください。

「どうして私が?」

乳がんと告げられたあの日、私の頭の中は真っ白になり、押し寄せる不安で目の前が暗くなりました。

今まさに、同じように立ち尽くしている方もいらっしゃるかもしれません。

私の場合、乳がんが見つかってから実際の治療が始まるまでには、約2か月かかりました。

当時は不安でいっぱいでしたが、治療を振り返って思うのは、乳がんは「自分のサブタイプ(がんの性質)を知ること」が、一歩を踏み出すための大切な手がかりになったということです。

この記事では、私が受けた検査や説明の流れを、当時の体験を交えながらまとめます。

なぜすぐ治療が始まらないの?検査で自分に合った治療方針を決める時間でした

乳がんと告げられたとき、私の頭の中を最初に占めていたのは、「これからどんな治療が始まるのだろう」という漠然とした不安でした。

正直なところ、当時は「がんが進行してしまわないか」「もっと早く治療を始められないのか」と、焦る気持ちばかりが膨らんでいました。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「早く治療しなくて、本当に大丈夫なの?」

けれど、総合病院で検査や説明を受けるうちに、乳がんの治療は、みんなが同じ方法で進むわけではないのだと分かってきました。

私の場合、すぐ治療が始まらなかった背景には、がん細胞がどんな性質を持っているか(サブタイプ)や、転移の有無、リンパ節の状態をしっかり確認する必要がありました。

乳がん治療前に検査結果や治療方針の説明を受ける女性

総合病院で、治療前に必要な検査の流れを確認していた頃。

あの焦っていた期間は放置されていたわけではなく、私に一番合った治療方針を慎重に決めるための、どうしても必要な準備時間だったのです。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「待たされていたのではなく、治療の準備をしていた時間だったんだ」

サブタイプを知るために受けた針生検|痛みが不安なときは伝えていい

この大切なサブタイプを調べるために、私はクリニックから紹介された総合病院で、針生検を受けました。

針生検は、しこりや病変から組織を採取し、詳しい性質を顕微鏡などで調べる検査です。

今でもよく覚えているのは、超音波の画面でしこりの位置をしっかりと確認しながら、専用の針で組織を採取したときのことです。

超音波で確認しながら針生検を受ける前に緊張している女性

検査中、医師や看護師さんの声かけに気持ちが少し救われました。

事前に麻酔の処置はあったものの、やはり針を刺す瞬間にはチクッとした痛みがあり、ただでさえ心細いなかで、さらに不安が大きくなったことを覚えています。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「痛かったらどうしよう…」

痛みの感じ方には個人差がありますが、もしこれから検査を控えていて不安な気持ちでいっぱいのときは、事前に医師や看護師さんへ「注射や痛みが苦手で不安です」と伝えておくと安心です。

あらかじめ相談しておくことで、声をかけながら進めてもらえるなど、少しでも安心して検査に臨めるお守りになると思います。

私のサブタイプは「トリプルネガティブ乳がん」でした

詳しい検査を終えたあと、セカンドオピニオンをきっかけに主治医となった先生から説明を受け、私が診断されたのは「トリプルネガティブ乳がん」というタイプでした。

このタイプは、ホルモン療法や抗HER2療法の対象になりにくいため、私の場合は化学療法、つまり抗がん剤治療が大きな柱になると説明を受けました。

当時の私は、「抗がん剤」と聞いただけで大きな不安がよぎりました。

けれど、主治医はこんなふうに声をかけてくれたのです。

医師
医師

「このタイプは、抗がん剤がよく効く方もいます。一緒に頑張りましょうね」

その言葉に、少しだけ前を向く力をもらえた気がします。

主治医からトリプルネガティブ乳がんと説明を受け、不安の中で少し表情がやわらぐ女性

治療への怖さを抱えながらも、少しだけ前を向けた日。

乳がんの治療はサブタイプで変わる|自分のタイプを知る意味

最初は専門用語ばかりで戸惑いましたが、自分のタイプを知ることで、「だからこの治療が必要なんだ」と、少しずつ心の整理をつけることができました。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「だから、この治療が必要だったんだ」

ただ「抗がん剤をします」と方針だけを告げられる治療だったら、怖さばかりが大きくなっていたかもしれません。

でも、自分の乳がんのタイプを教えてもらい、その特徴を丁寧に説明していただけたことで、治療の意味がわかり、納得して向き合う心の準備ができたのだと思います。

自分のサブタイプを知ることは、主治医への質問がしやすくなるという実用的なお守りにもなります。

乳がんのサブタイプや治療方針について、診察で聞きたいことをメモする女性

診察で聞きたいことを、少しずつメモに整理していました。

  • 自分のサブタイプは何か
  • なぜその治療方針(順番)になるのか
  • 検査結果が出るまで、どのくらいの日数がかかるか
  • 痛みや不安が強いとき、どう相談すればいいか

不安なことは、こうした疑問を診察時に聞けるようメモしておくと、安心につながると思います。

【参考:主治医から説明を受けるときに出てくることがある治療の目安】
※以下は大まかな目安であり、実際の治療は病状や検査結果によって異なります。

サブタイプ 主な治療の目安
ルミナルA型
(ホルモン受容体陽性 / HER2陰性)
ホルモン療法が中心になることが多い
ルミナルB型
(ホルモン受容体陽性 / HER2陰性または陽性)
ホルモン療法に加え、病状や検査結果によって抗がん剤が検討されることがあります。HER2陽性の場合は、抗HER2療法が検討されることもあります
HER2陽性乳がん
(HER2陽性)
抗HER2療法と抗がん剤が検討されることが多い
トリプルネガティブ乳がん
(ホルモン受容体陰性 / HER2陰性)
抗がん剤治療が中心になることが多く、条件によって免疫療法が検討される場合もある

※このタイプだから必ずこの治療法になると決まっているわけではありません。がんの進行度、リンパ節転移の有無、体調なども考慮されるため、最終的な判断は必ず主治医とご相談ください。

結果を待つ時間が一番つらい。転移の検査とセンチネルリンパ節生検

サブタイプの説明を受けたあと、治療を始める前に、がんがどこまで広がっているかを確認する検査を受けました。

検査そのものへの緊張もありましたが、それ以上につらかったのは、結果を待つ時間でした。

結果を待つあいだは、夜になるたびに不安が押し寄せてきました。
何度も同じことを考えてしまい、生きた心地がしないような日々でした。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「もし転移していたらどうしよう」

検査結果を待つ夜、不安で眠れずにいる女性

不安で眠れない夜が、何度も続きました。

乳房内の広がり・遠隔転移を調べる検査と、不安な夜

治療前には、乳房内の腫瘍の広がりを確認するMRI検査や、肺・肝臓・骨など他の臓器への転移がないかを確認する全身CT検査、骨シンチグラフィ検査などを受けました。

検査中は看護師さんが寄り添ってくださり心強かったですが、結果を聞くまでは不安でいっぱいでした。

結果は、遠隔転移なし。

その言葉を聞いたとき、体の力が抜けるほどホッとしたことを覚えています。

【参考:受けた検査と、行われることがある検査の目的】
※検査内容は医療機関や状況によって異なります。

検査名 目的
MRI検査 乳房内の腫瘍の広がりや状態を詳しく確認する
全身CT検査 肺や肝臓など、他の臓器への転移がないか確認する
PET検査 全身のがんの広がりを調べるために行われることがある
骨シンチグラフィ検査 骨への転移がないか確認する

センチネルリンパ節生検と、ステージ2Aの確定

最後に受けたのが、乳がんが最初に転移しやすい「見張り役」のリンパ節(センチネルリンパ節)に、がん細胞があるかを確認する検査でした。

私は1泊2日の入院をして、この検査を受けました。

検査の結果、調べた6つのリンパ節のうち1つに、5.9ミリのがん細胞が見つかりました。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「やっぱり、転移していたんだ……」

その結果を聞いたときは、言葉にできないほど落ち込みました。

センチネルリンパ節生検の結果を聞き、診察室で落ち込む女性

検査結果を受け止めるには、少し時間が必要でした。

けれど、主治医から「標準治療をしっかり行っていきましょうね」と説明を受け、その言葉を支えに、少しずつ前を向くことができました。

この検査結果をもって、私の乳がんは「ステージ2A」と診断され、これからの治療方針が決まりました。

2か月の待機期間を越えて。私の治療がいよいよ始まる

すべての検査が終わり、いよいよ治療が始まることになりました。

私の場合、乳がんが見つかってから実際の治療が始まるまでには約2か月かかりました。

検査を重ねる日々は本当に不安で長く感じられましたが、今振り返ると、自分に最適な治療のスタートラインに立つための、とても大切な時間だったのだと思います。

もし、今治療を待つ時間のなかにいて、焦りや不安で胸がいっぱいになっている方は、その気持ちを遠慮せず主治医や看護師さんに伝えてみてください。

不安を言葉にするだけでも、少し心が軽くなることがあります。

こうして私は、最初の一歩として「術前抗がん剤療法」を受けることになりました。

術前抗がん剤療法を受けるため、通院バッグを持って玄関に立つ女性

治療が始まる朝、気持ちを整えながら家を出ようとしていました。

やっと治療が始まる。そうホッとする一方で、「本当に自分にこの治療が耐えられるのだろうか」という、また別の大きな怖さもありました。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「やっと始まる。でも、怖い」


▼ 次のお話(第9話)はこちら

次回は、第9話。いよいよ始まった術前抗がん剤療法について。
頭では分かっていたつもりでも、実際に治療が始まると、また違う不安がありました。


この記事を書いた人:きゃんばぁば|乳がんサバイバー/家族の闘病サポーター
乳がんを経験し、10年の経過観察を終えました。妹の膵がんや夫の食道がんを家族として支えた実体験をもとに、「患者と家族の視点」で記事を書いています。

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