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前回までは、放射線治療後に起きた放射線肺臓炎、そして間質性肺炎と向き合った日々について書いてきました。
治療が終わったあとも、私の体には思いがけない不調が起こり、長い時間をかけて向き合うことになりました。
そして、もうひとつ。
治療後の私の心に、ずっと残っていたものがあります。

それが、「再発したらどうしよう」という不安でした。
2014年6月、私は術前抗がん剤、手術、放射線治療という大きな治療をひと通り終えました。
大きな治療が終わったとき、私は「やっとここまで来られた」と、少し肩の力が抜けたような気持ちになりました。
でも、治療が終わったからといって、すぐに心から安心できたわけではありませんでした。
むしろ私の中では、「再発したらどうしよう」という新しい不安が、始まっていたのです。

治療の区切りを迎えても、心がすぐに安心できるとは限りませんでした。
今回は少し時間を戻しながら、治療が終わってからの3年間、私がどのように再発への不安と向き合ってきたのかを書いていきます。
乳がんの再発率とどう向き合う?数字だけでは分からないこと
乳がんの再発率は、ステージや乳がんのタイプ、リンパ節転移の有無などによって大きく変わります。
インターネットで検索すれば情報が出てきますが、それらとどう向き合うかがとても重要でした。
再発率の情報を見るときに大切なこと
乳がんの再発リスクや再発しやすい時期は、乳がんのタイプ、ステージ、治療内容などによって一人ひとり異なります。
インターネットや本などでは一般的な傾向として語られる情報もありますが、それはあくまで全体の統計であり、自分にそのまま当てはめられるものではありません。
乳がんに関する基本的な情報を確認したい場合は、公的な医療情報を参考にすることも大切です。

乳がんの検査や治療について確認できる公的な情報サイトです。出典:国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん」(閲覧日:2026年7月11日)
たとえば、国立がん研究センターの「がん情報サービス」では、乳がんの特徴や検査、治療に関する情報がまとめられています。
参考:
「私はどうなの?」数字を見ても安心できなかったあの日
私も当時、再発率や再発しやすい時期について何度も検索しました。
でも、数字を見れば安心できると思っていたのに、実際には反対でした。
数字を見れば見るほど、
「私はどこに当てはまるの?」

「私の場合はどうなの?」
「この数字より悪かったらどうしよう」

数字を知ることが、必ずしも安心につながるわけではありませんでした。
と、かえって不安が大きくなってしまったのです。
確実なのは「主治医への確認」。自分の状態を知る大切さ
乳がんの再発リスクは、ひとまとめにはできません。
同じステージでも、がんの性質や治療への反応、手術後の病理結果によって変わります。
だからこそ、一般的な数字だけで自分の状態を判断するのではなく、自分の病状や治療後の状態、今後の検査方針について主治医に確認することが大切だと思います。
たとえば、自分の乳がんのタイプ、ステージやリンパ節転移の有無、治療後の病理結果、今後の検査方針、そして気になる症状が出たときの相談目安などです。

分からないことを一つずつ尋ねることで、不安の輪郭が少しずつ見えてきました。
私自身も、これらを直接尋ねることで、少しずつ現状を受け止められるようになりました。
治療が終わっても消えない、「再発したらどうしよう」という不安
治療後しばらくは、3か月ごとの診察や検査が続きました。
定期受診のたびに胸が締め付けられる日々
診察や検査の日が近づくと、何日も前から落ち着かなくなりました。

「何か見つかったらどうしよう」
「血液検査の数値が悪かったらどうしよう」
「先生の表情が曇ったらどうしよう」
そんなことばかり考えてしまうのです。
診察室に入る前の待合室では、心臓がドキドキしていました。
名前を呼ばれるまでの時間が、とても長く感じました。

何度受けても、結果を待つ時間に慣れることはありませんでした。
検査結果を聞くまで、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚がありました。
定期受診のたびに、まるで合格発表を待っているような気持ちでした。
小さな体調変化を「再発」と結びつけてしまう怖さ
体に少しでも違和感があると、すぐに再発と結びつけてしまいました。
胸のあたりが痛い。
背中が重い。
咳が続く。
疲れが抜けない。

治療後は、これまでなら気にしなかった変化にも敏感になっていました。
今思えば、治療後の体力低下や放射線治療後の影響も重なっていたのだと思います。
でも当時の私は、少しでも体調が変わると、「もしかして再発?」と考えてしまいました。
不安に飲み込まれないために。私が3年間続けてきた「過ごし方」
再発を完全に防ぐ方法があるわけではありません。
「これをすれば絶対に再発しない」と言い切れるものも、私にはありませんでした。
でも、当時の私は、

「今の自分にできることはないか」
と必死に考えていました。
不安に飲み込まれないために、自分なりに生活を整えることを意識しました。
これは医学的に再発予防の効果を断定するものではありませんが、私が不安と向き合うために続けていたことです。
睡眠を大切にする。休めた実感が心を守る
治療中も治療後も、体は思っている以上に疲れていました。
夜更かしをすると、翌日の体調だけでなく、気持ちも崩れやすくなりました。
だからこそ私は、できるだけ睡眠を大切にするようにしました。
朝は光を浴びる。夜はスマホやパソコンを早めに切り上げる。
「ちゃんと休めた」
そう思えるだけで、翌朝の不安が少しやわらぐ日もありました。

生活のリズムを整えることが、不安で揺れる心の土台になりました。
無理のない範囲で体を動かし、食事を整える
体力が戻らない中で、特別な運動をしたわけではありません。
家の中の片づけをする、近所を少し歩く。日常の動きそのものがリハビリでした。
食事についても、最初は「これは食べていいのかな」と考えすぎて疲れてしまったこともあります。
極端な食事制限よりも、野菜やたんぱく質をバランスよく、無理なく続けるほうが私には合っていました。
口の中を整えるオーラルケアも、私にとって「自分の体を大切にする」感覚につながっていました。

特別なことより、続けられる小さな習慣を重ねるようにしました。
検索しすぎず、気になる症状は「メモ」して診察で聞く
「乳がん 再発」と検索すると、怖い情報がたくさん出てきます。
検索すればするほど不安が大きくなってしまうため、むやみに情報を見続けるのをやめました。
その代わり、体に違和感があるときは「いつから症状があるのか」「どんなときに強くなるのか」をメモしておくようにしました。
診察室に入ると緊張して忘れてしまうことでも、メモがあれば伝えやすくなります。

答えの出ない検索より、診察で伝えられる記録を残すようになりました。
不安なことは聞いてよかったのだと思います。
同じ経験をした人と話す。ひとりで抱え込まないこと
再発の不安は、周りに話しにくいことがあります。
「治療が終わったのに、まだ不安なの?」と思われるのではないか。
そう思うと、なかなか口にできませんでした。
でも、同じように乳がんを経験した人と話すと、

「私だけじゃなかったんだ」

言葉にしてみると、同じ気持ちを抱えていた人がそばにいました。
と思えることがありました。
ひとりで抱え込まないことも、不安と向き合うための大切な方法だと思います。
病気のことだけを考えない。「好きなこと」と「日常」を取り戻す工夫
病気のことだけを考えていると、毎日がどんどん暗くなってしまいました。
だから私は、好きなことも大切にしようと思いました。
少しのおしゃれや外出が、気持ちを上向きにしてくれる
スキンケアをする。
メイクをする。
ウィッグを整える。
少しおしゃれをして出かける。
「元気に見せるため」ではなく、自分の気持ちを少し守るための工夫でした。

乳がんを経験しても、楽しんでいい。
笑っていい。
おしゃれをしてもいい。
そう思えるようになるまでには時間がかかりましたが、好きなことを少しずつ取り戻すことは、私にとって大切な回復の一部でした。

自分のために身支度をする時間が、日常へ戻るきっかけになりました。
体力に自信がない日の外出は、荷物を軽くする工夫から
外に出たい気持ちはあっても、治療後は体力が落ちているため、重い荷物を持つことへの不安がありました。
旅行や荷物が多い日の外出では、手で持つバッグだけでなく、キャリーケースのように引いて運べるものを選択肢に入れるのも一つの方法だと思います。
私自身も、無理なく外に出るための工夫として、荷物を軽くすることは大切だと感じています。
選ぶときは、軽さだけでなく、車輪の動かしやすさ、持ち手の握りやすさ、荷物を出し入れしやすいかも見ると安心です。

立てたまま荷物を出し入れしやすく、外出時の負担を減らす工夫にもつながります。
負担を少し減らす工夫をすることで、外出への気持ちのハードルが下がることもあると思います。
外出時の荷物の負担を減らしたい方へ
こちらはフロントオープンタイプのキャリーケースです。旅行や荷物の多い外出で使う場合は、サイズや重さ、持ち手や車輪の使いやすさを確認し、ご自身に合うものを選んでください。
乳がん再発の不安について、よくある疑問
再発の不安と向き合う中で、よく頭をよぎる疑問についてまとめました。

頭の中に浮かんだ疑問を、一つずつ整理していきました。
Q. 乳がんの再発はいつ頃まで注意が必要ですか?
A. 再発時期には個人差があり、タイプやステージ、治療内容によって異なります。一般的なデータはありますが、自分にそのまま当てはまるわけではありません。自分の場合の目安や今後の検査方針は、主治医に確認することが大切です。
Q. 体に違和感があるとき、すぐ再発を疑うべきですか?
A. 治療を経験すれば不安になるのは当然ですが、自己判断は禁物です。症状がいつから始まったか、どんな時に強くなるかをメモし、次回の診察時、または必要に応じて早めに医師に相談するようにしてください。
Q. 再発が不安で検索が止まらないときはどうすればいいですか?
A. 検索すればするほど不安が大きくなることもあります。信頼できる公的機関の情報や、主治医の説明を軸にし、インターネットから意識的に少し離れる時間を作ることも大切です。
Q. 再発予防のために、生活でできることはありますか?
A. 「これをすれば絶対に防げる」と言い切れる方法はありません。睡眠・食事・適度な運動を無理のない範囲で整え、不安をひとりで抱え込まないことが、不安に飲み込まれないための支えになると思います。
さいごに:不安と向き合いながら、今日を生きる
乳がんの治療が終わっても、不安がすぐに消えるわけではありません。
検診のたびに怖くなる日もあります。
体の違和感に敏感になる日もあります。
でも、それはおかしなことではないと思います。
乳がんを経験したからこそ、命の大切さを強く感じるようになった。
当たり前の毎日が、当たり前ではないと知った。
だから怖くなるのだと思います。
私はそう思うようになってから、自分の不安を少し責めなくなりました。
不安がある日は、無理に前向きにならなくてもいい。
できることをひとつだけすればいい。
眠る。
食べる。
少し歩く。
好きなことをする。

前向きになれない日も、今日を過ごすための一つができれば十分です。
同じように再発の不安を抱えている方へ。

あなたは、ひとりではありません。
怖いと思いながらも、今日を過ごしているだけで、十分がんばっています。
これからも、不安と向き合いながら、できることを少しずつ続けていきましょう。
次回へ:間質性肺炎と付き合いながら、暮らしを整えていく
再発への不安と向き合いながら、少しずつ日常を取り戻そうとしていた私には、もうひとつ、長く付き合うことになった病気がありました。
放射線治療後に発症した、間質性肺炎です。
症状が落ち着いたと思っても、また悪くなる。
再燃を繰り返す中で、私は「元通りになること」だけを目指すのではなく、今の体に合わせて暮らしていくことを少しずつ考えるようになりました。

治療後の不安に、長引く体の不調が重なっていきました。
第26話では、少量のステロイド治療を続けながら、感染対策や食事、運動、睡眠、仕事など、日々の暮らしをどのように整えていったのかを書いています。
第26話はこちらから↓
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