【第25話】乳がんの再発はいつ起こる?再発率の目安と不安との向き合い方

乳がん体験記
※この記事は、私自身のトリプルネガティブ乳がん治療後の体験をもとに書いています。
再発のリスクや経過観察の方法は、乳がんのタイプ、ステージ、治療内容、病理結果、体調によって一人ひとり異なります。
この記事は、特定の治療法や生活習慣をすすめるものではありません。
気になる症状がある場合や、再発・検査について不安がある場合は、自己判断せず、必ず主治医や医療者に相談してください。

前回までは、放射線治療後に起きた放射線肺臓炎、そして間質性肺炎と向き合った日々について書いてきました。

治療が終わったあとも、私の体には思いがけない不調が起こり、長い時間をかけて向き合うことになりました。

そして、もうひとつ。
治療後の私の心に、ずっと残っていたものがあります。

それが、「再発したらどうしよう」という不安でした。

今回は少し時間を戻しながら、乳がんの治療がひと区切りしたあと、私がどのように再発への不安と向き合ってきたのかを書いていきます。

2014年6月、私は乳がんの大きな治療をひと通り終えました。

術前抗がん剤、手術、放射線治療。

大きな治療が終わったとき、私は「やっとここまで来られた」と、少し肩の力が抜けたような気持ちになりました。

でも、治療が終わったからといって、すぐに心から安心できたわけではありませんでした。

むしろ私の中では、「再発したらどうしよう」という新しい不安が、静かに始まっていたのです。

乳がんの再発率はどれくらい?数字だけで判断できない不安

乳がんの再発率は、ステージや乳がんのタイプ、リンパ節転移の有無、治療内容、病理結果などによって大きく変わります。

インターネットで調べると、ステージ別の再発率やタイプ別の再発しやすい時期が出てくることがあります。

私も当時、何度も検索しました。

でも、数字を見れば安心できると思っていたのに、実際には反対でした。

数字を見れば見るほど、

「私はどこに当てはまるの?」
「私の場合はどうなの?」
「この数字より悪かったらどうしよう」

と、かえって不安が大きくなってしまったのです。

乳がんの再発率は、ひとまとめにはできません。

同じステージでも、がんの性質や治療への反応、手術後の病理結果によって、再発リスクは変わります。

だからこそ、一般的な数字だけで自分の状態を判断するのではなく、自分の場合のリスクや検査の方針は、主治医に確認することが大切だと思います。

再発への不安と過ごした3年間

治療後しばらくは、3か月ごとの診察や検査が続きました。

検診の日が近づくと、何日も前から落ち着かなくなりました。

「何か見つかったらどうしよう」
「血液検査の数値が悪かったらどうしよう」
「先生の表情が曇ったらどうしよう」

そんなことばかり考えてしまうのです。

診察室に入る前の待合室では、心臓がドキドキしていました。

名前を呼ばれるまでの時間が、とても長く感じました。

検査結果を聞くまで、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚がありました。

検診のたびに、まるで合格発表を待っているような気持ちでした。

また、体に少しでも違和感があると、すぐに再発と結びつけてしまいました。

胸のあたりが痛い。
背中が重い。
咳が続く。
疲れが抜けない。

今思えば、治療後の体力低下や放射線治療後の影響、肺炎の症状も重なっていたのだと思います。

でも当時の私は、少しでも体調が変わると、

「もしかして再発?」

と考えてしまいました。

特に私は、放射線治療後に咳が続き、放射線肺臓炎、そして間質性肺炎と向き合うことになりました。

咳が出るたびに、体の不調そのものへの不安と、再発への不安が重なりました。

だからこそ、自己判断せず、気になる症状は主治医や呼吸器内科の先生に相談することが大切だと痛感しています。

再発の不安と向き合うために、生活で意識したこと

再発を完全に防ぐ方法があるわけではありません。

「これをすれば絶対に再発しない」と言い切れるものも、私にはありませんでした。

でも、当時の私は、

「今の自分にできることはないか」

と必死に考えていました。

再発の不安を抱えたまま、ただ怖がっているだけでは、心が持たなかったのです。

そこで私は、再発を完全に防ぐためというより、不安に飲み込まれないために、自分なりに生活を整えることを意識しました。

これは、医学的に再発予防の効果を断定するものではありません。

あくまで、私が再発への不安と向き合うために、続けていたことです。

1. 睡眠を大切にする

治療中も治療後も、体は思っている以上に疲れていました。

夜更かしをすると、翌日の体調だけでなく、気持ちも崩れやすくなりました。

不安が強い日は、少しの体調の変化にも敏感になってしまいます。

だからこそ私は、できるだけ睡眠を大切にするようにしました。

朝は光を浴びる。
夜はスマホやパソコンを早めに切り上げる。
寝る前は部屋を少し暗くする。

どれも小さなことですが、眠れる日が増えると、気持ちも少し落ち着くように感じました。

「ちゃんと休めた」

そう思えるだけで、翌朝の不安が少しやわらぐ日もありました。

2. 無理のない範囲で体を動かす

治療後は、体力がすぐに戻るわけではありませんでした。

少し動くだけで疲れる日もありました。

だから、運動といっても特別なことをしたわけではありません。

家の中の片づけをする。
近所を少し歩く。
買い物に行ける日は行ってみる。

私にとっては、日常の動きそのものがリハビリのようなものでした。

大切なのは、無理をしないこと。

息切れや痛み、不安な症状があるときは、必ず医師に相談しながら進めることが大切だと思います。

3. オーラルケアを意識する

抗がん剤治療中は、口の中のトラブルにも気をつけていました。

治療後も、歯磨きやフロス、定期的な歯科検診を意識するようになりました。

口の中を整えることは、私にとって「自分の体を大切にする」感覚につながっていました。

4. アルコールを控える

私は治療後しばらく、アルコールを控えるようにしていました。

特に再発が怖かった最初の数年間は、できるだけ飲まないようにしていました。

もちろん、生活の仕方は人それぞれです。

持病や薬との関係もあります。

飲酒について不安がある場合は、主治医に確認して、自分に合った形で考えるのがよいと思います。

5. バランスのよい食事を心がける

食事についても、最初はかなり神経質になりました。

「これは食べていいのかな」
「これは再発によくないのかな」

そんなふうに考えすぎて、かえって疲れてしまったこともあります。

今振り返ると、極端な食事制限よりも、無理なく続けられる食事のほうが私には合っていました。

野菜、たんぱく質、発酵食品などを意識しながら、できるだけバランスよく食べる。

完璧を目指すのではなく、続けられる形にする。

そのほうが、気持ちも楽でした。

6. 好きなことをやめない

再発の不安があると、つい病気のことばかり考えてしまいます。

でも、病気のことだけを考えていると、毎日がどんどん暗くなってしまいました。

だから私は、好きなことも大切にしようと思いました。

スキンケアをする。
メイクをする。
ウィッグを整える。
少しおしゃれをして出かける。
家族と笑う時間を作る。

「元気に見せるため」ではなく、自分の気持ちを少し守るための工夫でした。

乳がんを経験しても、楽しんでいい。
笑っていい。
おしゃれをしてもいい。

そう思えるようになるまでには時間がかかりましたが、好きなことを少しずつ取り戻すことは、私にとって大切な回復の一部でした。

再発予防に効果があったかは、正直わかりません

ここまで、私が意識したことを書いてきました。

でも正直に言うと、これらの習慣が乳がんの再発予防にどれほど効果があったのかは、私にはわかりません。

「これをしたから再発しなかった」とは言えません。

ただ、続けることで、

「私は今、自分の体を大切にしている」

という実感がありました。

不安を0にすることは難しいです。

でも、今の自分にできることをひとつずつする。

それが、再発の不安と向き合うための支えになっていたのだと思います。

再発の不安を感じるのは、弱いからではない

乳がんの治療が終わったあと、再発の不安を感じる人は少なくないと思います。

それは、決して弱いからではありません。

つらい治療を経験したからこそ、また同じ思いをするのが怖い。

大切な家族の顔を見ると、まだまだ生きたいと思う。

これからの時間を失いたくないと思う。

だから怖くなるのだと思います。

再発が怖いと思うのは、それだけ一生懸命に生きたいと思っているからなのかもしれません。

私はそう思うようになってから、自分の不安を少し責めなくなりました。

再発の不安と向き合うために、私が意識したこと

再発の不安は、消そうと思って消えるものではありませんでした。

だから私は、不安をなくすというより、不安に飲み込まれない工夫をするようにしました。

気になる症状はメモして診察で聞く

体に違和感があると、不安で頭の中がいっぱいになります。

でも、診察室に入ると緊張して、聞きたかったことを忘れてしまうことがありました。

そこで私は、気になる症状をメモしておくようにしました。

いつから症状があるのか。
どんなときに強くなるのか。
熱や咳、痛みはあるのか。
日常生活で困っていることは何か。

メモしておくと、診察のときに主治医へ伝えやすくなりました。

「こんなこと聞いていいのかな」と思うことでも、不安なことは聞いてよかったのだと思います。

検索しすぎない

「乳がん 再発」と検索すると、怖い情報がたくさん出てきます。

私も何度も検索しました。

でも、検索すればするほど安心するどころか、どんどん不安が大きくなってしまいました。

それからは、むやみに怖い情報を見続けるのではなく、主治医の説明や信頼できる医療情報を中心に見るようにしました。

不安なときほど、情報の選び方は大切だと思います。

ひとりで抱え込まない

再発の不安は、周りに話しにくいことがあります。

「治療が終わったのに、まだ不安なの?」と思われるのではないか。

「心配しすぎ」と言われるのではないか。

そう思うと、なかなか口にできませんでした。

でも、同じように乳がんを経験した人と話すと、

「私だけじゃなかったんだ」

と思えることがありました。

患者会やがん相談支援センター、信頼できる医療者に相談することも、不安をひとりで抱え込まないための方法だと思います。

さいごに:再発の不安と向き合いながら、今日を生きる

乳がんの治療が終わっても、不安がすぐに消えるわけではありません。

検診のたびに怖くなる日もあります。
体の違和感に敏感になる日もあります。
未来のことを考えて、急に不安になる日もあります。

でも、それはおかしなことではないと思います。

乳がんを経験したからこそ、命の大切さを強く感じるようになった。

当たり前の毎日が、当たり前ではないと知った。

だからこそ、不安になりながらも、今日を大切に生きていきたいと思うようになりました。

不安がある日は、無理に前向きにならなくてもいい。

できることをひとつだけすればいい。

検診を受ける。
気になることを相談する。
眠る。
食べる。
少し歩く。
家族と話す。
好きなことをする。

その小さな積み重ねが、私を少しずつ支えてくれました。

同じように再発の不安を抱えている方へ。

あなたは、ひとりではありません。

怖いと思いながらも、今日を過ごしているだけで、十分がんばっています。

これからも、不安と向き合いながら、できることを少しずつ続けていきましょう。

再発の不安と向き合いながら過ごしていた私には、もうひとつ、長く付き合うことになった病気がありました。

第26話では、乳がん治療後に起きた間質性肺炎と、ステロイド治療を続けながら日常を整えていったことについて書いています。

第26話はこちらから↓ 


 

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この記事を書いた人きゃんばぁば|乳がんサバイバー/家族の闘病サポーター

乳がんを経験し、経過観察を経てひとつの区切りを迎えました。

その後、妹の膵がん、夫の食道がんを家族として支えてきた経験をもとに、患者と家族の視点で記事を書いています。

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