
治療が始まるまで、私は未来が見えない不安でいっぱいでした。
「この気持ちを誰かにわかってほしい」

「どうして私が…。」「自分のせいでがんなったのかな?」そんな風に考えて自分を責めました。
告知を受けた後、夜は眠れず何も楽しくない。
家事も手につかずひたすらパソコンで「乳がん」について検索するばかり。
でも、どれだけ情報を集めても心は軽くなることはなく、重くなっていくばかり。

インプットばかりで心が重くなっていきました
「そして気づいたんです!」
私が本当に知りたいのは「情報」じゃなくて「気持ちを話せる誰か」なんだ。
そんな時見つけた、患者会のポスター
そんなとき、病院の待合室の掲示板で見つけた1枚のポスター。
「こんな場所があるんだ」行ってみたいけどちょっと怖い。どんな人がいるんだろう?
私の悩み聞いてくれるのかな?迷いながらも患者会に参加してみることにしました。

患者会のポスター見つけたよ
周りに、がんになった人がいなかったので、誰かと話せる場所が必要だと感じていました。
「行ってみたいけど、ちょっと怖い…」と感じた理由
患者会のことを知ったとき、興味はあったのですが、こんな不安がよぎりました。
知らない人といきなり話せるか不安 | どんな雰囲気なのかわからず、気まずくならないか心配でした。 |
重い話ばかりになったらどうしよう | 再発や転移の話が中心になって、逆に不安が増えてしまうのでは?と思いました。 |
自分と同じタイプやステージの人がいなかったら | 「他の人とは違う」と感じて、話についていけなかったらどうしよう、と考えてしまいました。 |
「やっぱりやめようかな?」と直前まで悩みましたが「とりあえず一回だけでも行ってみよう」と決心しました。
患者会との出会い〜心の声を言える場所

「先生助けてください」「誰か助けて」「神様どうか助けてください」
告知を受けてから、私は心の中で何度も呟いていました。
もしかしたら「ここなら私の心の声を聞いてくれるかもしれない」
そう思って参加しました。
不安な気持ちを抱えながら参加した患者会:そこで出会った温かい言葉

ドキドキしながら患者会のドアを開けました
迎えてくれたのは温かい笑顔と優しい言葉でした。
みんなが、自分の経験や治療のこと辛かった気持ちを話してくれました。
「みんな経験してきてるから大丈夫だよ」
「私もトリプルネガティブだけど生きてるよ」
その言葉が、当時の私には神様の声のように聞こえました。
「思い切って患者会に来て本当によかった」心からそう思いました。
患者会ってどんな感じ?

実際に参加してみると思っていたのとは違う印象を受けました。
意外とアットホームな雰囲気だった | 患者会と聞くと「真面目な会議」のような雰囲気を想像していましたが、実際は リラックスした空間 でした。お茶を飲みながら話す感じで、最初の緊張も少しずつほぐれました。 |
無理に話さなくても大丈夫だった | 「自己紹介をしなきゃいけないのかな?」と不安でしたが、無理に話す必要はなく、聞いているだけでもOKでした。気になったことがあれば、少しずつ会話に入ることもできました。 |
共感できる話がたくさんあった | 「副作用が辛かったよね」「あの薬、私も飲んでる!」と、 日常ではなかなか話せないことを、同じ経験をした人と共有できる安心感 がありました。 |
そして驚いたのはみんなが楽しそうに話してたこと
そして、もうひとつ驚いたこと。
参加していた皆さんがとても楽しそうに話していたことです。
患者会の人たちは前を向いて生きていました。
悲痛な表情をしていたのは私だけだったかもしれません。
「乳がん治療を乗り越えたら、私もこんなふうに話せるようになるのかな?」そう思ったとき私の心に小さな希望が芽生えました。

「私もいつか、きっと…。」

患者会で出会った仲間
そしてやっと言えた、心の声

不思議なことに、この場所では、これまで誰にも言えなかった治療への不安や、心の声を全て話すことができました。
- 「本当に治療すれば治るのかな?」
- 「治療はつらくないかな?」
- 「私死ぬのかな?」
- 「治療の副作用ってどんな感じかな?」
私の心の中にあった、たくさんの疑問や不安。
患者会の皆さんは、それを一つひとつ丁寧に聞いてくれました。
私の質問に対する優しい回答

患者会で不安が解消されたので、その時にかけてもらった言葉を紹介しますね。
A「ここにいるみんなは抗がん剤が効いた人もいれば、効かなかったけれど10年20年がんと共存している人もいるよ。だから…あまり先のことは考えず、まずは目の前の治療をひとつずつ乗り越えていこうね。」と心のこもった言葉を聞いて私の気持ちは少し楽になりました。
そして「私もトリプルネガティブ乳がんだけど生きてるよ」と励ましてくれたことも、大きな心の支えになりました。
A「脱毛や味覚障害など色々な副作用があるけれど、今は辛い副作用を我慢しなくていい時代だよ。主治医や担当看護師さんに相談すれば、薬の処方や対処法もサポートしてくれるから心配しなくて大丈夫」
そう教えてもらい私は少し笑顔になりました。
A「まずは先生の話をよく聞いてから、不安なことや疑問があれば質問してみて。きっと丁寧に答えてくれるはずだから、信じて一緒に治療するイメージを持つことが大事だよ」と教えてもらいました。
「わかるよ」その言葉に救われた
私は不安で涙を流しながら話しました。
皆さんはうなずきながら、一所懸命に私の話に耳を傾けてくれました。
そしてやさしくこう言ってくれたのです。
「わかるよ。」その言葉を私は一番聞きたかったのかもしれません。

みんなに力をもらえたよ
患者会が終わる頃、私は少しだけ心が軽くなっているのを感じました。
初めて参加したときの正直な気持ち
最初は「場違いだったらどうしよう?」と不安が大きかったですが、終わる頃には「来てよかった」という気持ちに変わっていました。
「こんな風に前向きに生きている人がいるんだ!」と知ることができたのも大きな収穫でした。
皆さんは嫌な顔ひとつせず、あいづちを打ちながら最後まで話を聞いてくれました。その雰囲気だけで心が軽くなったように感じました。

がん患者同士でしかわかり合えない理由
がんと診断された時のショックや治療中の辛さって、実際に体験した人にしかわからない部分があるんです。「私も同じ気持ちだった」と言ってもらえるとそれだけで安心できるんです。
抗がん剤や手術などの治療は、体に大きな負担をかけます。副作用で髪が抜けたり、体力が落ちたりする経験も同じ治療を受けた人にしか理解できないことがあるんです。
がんになると「これからどうなるんだろう」「命は大丈夫かな」と不安になるのです。この気持ちは同じ病気と向き合った人でないとなかなか共有できないんです。
周りの人に病気のことを話しても「大丈だよ」「頑張っって」と言われることがありますが、そう言われると「この気持ちはわかってもらえないんだな」と感じてしまうことがあります。 がん患者同士なら何も言わなくても気持ちをわかってくれるので安心です。
同じ病気の人が「私も治療を乗り越えたよ」と教えてくれると、それだけで「自分も頑張ろう」と思えるんです。同じ経験をした人だからこそ、励ましの力が強いんですね。
ちょっと気をつけたいデメリット
患者会もたくさんあるので、自分にあった場所を見つけてくださいね。
合う合わないがある (相性問題) |
どんなグループでも、人によって合う・合わないがある と思いました。話しやすい会もあれば、自分にはちょっと合わないなと感じる会もあるかもしれません。 |
再発や転移の話を聞いて不安になることも | 中には「再発した」「治療が辛い」という話が中心になることもあります。そういう話を聞くのが辛いと感じる人は、無理に参加しなくても大丈夫です。 |
情報の選択が大切 |
経験談はとても参考になりますが、あくまで「その人のケース」 なので、自分に当てはまるとは限りません。医師の意見と合わせて考えることが大切だと感じました。 |
全国の患者会情報
全国に、たくさんの患者会があるので気になる方は参考にしてくださいね。
最後に、「ひとりじゃないよ!」

未来が少し見えたように感じました。
「治療をすれば普通に過ごせるんだ」
「もしがんが完治しなくても、共存する道があるんだ」
患者会の人たちが、そう教えてくれました。そして少しずつ前を向けるようになりました。
乳がんの治療前や治療後「ひとりで抱え込まないこと」がとても大切です
患者会は、同じ経験を持つ人と繋がり気持ちを共有できる貴重な場所。
「気になるけど、ちょっと勇気がない」という人はオンラインの交流やSNSから始めてみるのもおすすめです。

あなたは一人じゃない!
11話に続く….
第11話はこちらから↓