
出口のないトンネルに迷い込んだようなあの日から、12年。
2024年、10年以上の経過観察を経て、主治医から「完治」と言っていただくことができました。
今、もし不安の中にいる方がいたら、まずこの言葉を届けたいです。
「先が見えない日々の中でも、少しずつ歩いていけることがあります」
この記事では、告知の絶望から、初期治療の大切さへの気づき、そして長い闘病と経過観察の日々の中で、私自身を支え続けた「5つのこと」について振り返ります。

告知の日から12年。長い時間をかけて、少しずつ歩いてきました。
「初期治療が大切」主治医の言葉と私の覚悟
トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン療法や抗HER2療法の対象になりにくく、抗がん剤治療が中心になることが多いタイプです。
告知を受けた当時、主治医からはっきりとこう説明を受けました。
「初期治療の効果が、今後の経過に大きく関わります」

主治医の言葉を受け止め、私は初期治療と真剣に向き合う覚悟をしました。
恐怖や不安は尽きませんでしたが、「この時期の治療を大切に受けることが、その後の経過に関わるのだ」と真摯に受け止めました。
がんそのものを叩く医療的な戦いは、主治医を信じて託すことに決めました。
では、治療を受ける「私」にできることは何なのか。
過酷な副作用や不安に飲み込まれそうになる日々の中で、私が意識したのは「生活の土台を崩さないこと」でした。
治療中の私を支えた5つのこと

特別なことではなく、毎日の小さな習慣が私の支えになりました。
これから紹介するのは、がんを治す特別な方法ではありません。
先の見えない治療生活の中で、私が自分自身を保つために、そして「自分の体を大切にしている」という実感を持つために支えにしていた習慣です。
❶ 笑顔を意識する(心の土台作り)

当時の私は、少し不思議に感じました。
けれど、不安で押しつぶされそうな日でも、意識して口角を上げてみる。
それだけで、恐怖に支配されていた心が少しだけ落ち着くのを感じました。

不安な日でも、少しだけ口角を上げることが心の支えになりました。
「今日も少しだけ前を向こう」と思えるこの時間は、私にとって、心が沈み切らないための小さな支えでした。
❷ 体をあたためる(緊張をほぐす時間)
冷えを感じると、体だけでなく、心までこわばり、不安が増幅するように感じることがありました。
だからこそ、冷えを感じる日は無理のない範囲で体をあたため、少しでも気持ちを緩めるようにしていました。
- 就寝前の入浴で、体をゆっくりあたためる
- 生姜湯など、温かい飲み物を飲む
- 体調の良い日に、軽いストレッチをする

体があたたまると、張りつめていた気持ちも少しほぐれるように感じました。
愛犬のぬくもりにも助けられながら、体があたたまると、張り詰めていた気持ちも少しほぐれるように感じました。
❸ 睡眠の環境を整える(不安を手放す)
治療中は、体だけでなく心も常に緊張状態にあります。
よく眠れた日は、体のだるさも少しやわらぎ、気持ちも落ち着きやすかったように思います。
だからこそ、眠る前の時間をできるだけ穏やかに過ごすことを意識していました。
- 朝は太陽の光を浴びる
- 夜はスマホを早めに手放す
- 照明を落として心を落ち着かせる

眠る前の時間を穏やかに整えることも、不安を手放すための大切な習慣でした。
照明を落として心を落ち着かせる時間は、不安やだるさに飲まれすぎないための一日を終える大切な習慣でした。
❹ 軽い運動で主導権を取り戻す
動けない日は無理をせず、調子の良い日は散歩や関節回しを行いました。
「自分の足で歩けている」「体を動かせている」という実感は、病気に人生の主導権を渡さないという私の小さな抵抗であり、自信を取り戻すための土台になりました。

自分の足で歩けていることが、私に小さな自信をくれました。
❺ 食べることを、体を労わる時間にする

理想の食事ではなく、その日に口にできるものを大切にしていました。
治療中は、思うように食べられない日もありました。
そのため、「理想の食事」を無理に目指すのではなく、その日に口にできるものを少しずつ大切にするよう意識しました。
納豆やお味噌汁などを食べられた日は、「口に入れるものが、今の私を支えている」と、自分を労わっている実感を持つことができました。
12年を振り返って「完治」を迎えるまで

長い経過観察を重ね、ようやく心の緊張がほどけた瞬間でした。
繰り返しますが、この5つの習慣ががんを治したわけではありません。
私がここまで来られた土台には、主治医と進めた初期治療と、その後の経過観察がありました。
けれど、「自分で自分の体と心に手を尽くしている」という感覚は、先が見えない治療生活の中で、私が私自身を見失わないための確かな支えでした。
治療が終わっても、すぐに心から安心できたわけではありませんでした。
検査のたびに不安になりながら、1年、5年、10年と経過観察を重ねました。
そして2024年、主治医から「完治」と言っていただいた時、ようやく長い緊張がほどけた気がしました。
この経験を通して健康と向き合い、自分の生活を見直したことは、のちに夫の闘病を支えるときにも、私の大きな力になってくれました。
この記事が、今、不安の中で治療と向き合っている方にとって、ほんの少しでも前を向くためのヒントになればと心から願っています。
よくある質問(Q&A)
- A.トリプルネガティブ乳がんは、女性ホルモン受容体とHER2がいずれも陰性の乳がんです。
ホルモン療法や抗HER2療法の対象になりにくく、抗がん剤治療が中心になることが多いタイプとされています。ただし、治療は年々進歩しており、現在は病状や条件によって免疫療法などが検討される場合もあります。
※治療方針は一人ひとり異なるため、必ず主治医に確認することが大切です。
参考:国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」
- A.私の場合、主治医から「初期治療の効果が今後の経過に大きく関わる」と説明を受けました。初期治療は、再発を抑え、治癒を目指すうえで大切な治療とされています。だからこそ、不安なことをそのままにせず、治療の目的や流れについて主治医とよく相談することが大切だと感じました。
参考:日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン:Q17 初期治療の考え方について教えてください」
- A. 私自身、治療が始まる前に確認しておけばよかったと思うことがあります。
・治療の目的(根治・再発予防など)
・薬の種類と治療期間
・効果判定の時期
・副作用が出た時の対応
・夜間や休日の連絡先
・仕事や家事との両立について
※聞きたいことは、事前にメモして診察に持って行くと安心です。
- A. 副作用がつらい時は、我慢しすぎず、早めに医療者へ相談することが大切です。
高熱、強い倦怠感、息切れ、持続する嘔吐や下痢、しびれの急な悪化、脱水が疑われる時などは、自己判断せず連絡・受診してください。治療前に、夜間や休日の連絡先を確認しておくと安心です。
トリプルネガティブ乳がんについて、最初に知っておきたいことをこちらの記事にまとめています。
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