
この記事を読んでいるあなたは、もしかすると「トリプルネガティブ乳がん」と告げられたばかりかもしれません。
大切な人の、病気に不安を感じている方もいるでしょう。
私も12年前、同じように診断を受け、不安と向き合いました。
あの頃の私と同じ気持ちの方へ…。
この記事では、体験を交えながら、診断直後に知っておきたいこと、心の整え方、治療を選ぶときのヒントをお伝えします。
1.診断を受けた直後、まず知っておきたいこと
「トリプルネガティブ乳がん」と告げられた瞬間、

「これからどうなるの?」「治るの?」「家族にどう話せばいいの?」
次々と浮かぶ疑問や恐怖で、心が押しつぶされそうになりました。
今だからわかることがあります。
診断を受けた直後は誰でも不安で当然です。
治療を始めるまでに、検査や準備にお時間があります。
焦らなくても大丈夫。
一歩ずつ、ゆっくりでいいんです。私もそうでした。
検査から始まる「自分を知る時間」

診断を受けたあと、すぐに治療が始まるわけではありません。
まず、行われるのは、今の自分の体の状態を正しく知るための検査です。
乳がんのタイプや進行の度合い、そして体のどこにどんな変化があるのか。
それを確認することが、最初の一歩になります。
検査と聞くと怖い気持ちになるかもしれません。
でも、どの検査も治すために必要な検査です。
不安なまま進むより、
「自分の体を知る時間」なんだと思えた方が、きっと心が落ち着きます。
乳がん確定診断で行われる主な検査
| 検査名 | 内容 | 
| マンモグラフィー検査 | X線で乳房の状態を確認する検査 | 
| 超音波(エコー)検査 | 超音波でしこりの位置や大きさを確認 | 
| MRI検査 | 乳房の断面を撮影し、がんの広がりを詳しく調べる | 
| CT検査 | 他の臓器やリンパ節への転移を確認 | 
| 組織診・細胞診 | がん細胞を採取し、性質や悪性度を調べる | 
| 腫瘍マーカー検査 | 血液中のがん関連物質の値を測定する | 
| PET検査 | 体全体を撮影し、がんの転移を調べる | 
2.検査を重ねながら気づいたこと
検査はどれも体の負担をできるだけ少なくするように行われます。

「今日もまた検査か…」と思う日もありましたが…。
一歩ずつ前に進んでいると信じて、自分を励ましていました。
そんなときは、無理に頑張ろうとせず、
「今日一歩進めた」と自分をねぎらってくださいね。
知ることが怖いけれど、治療の力に変わります。
治療法の選択〜突きつけられた重い決断
検査がすべて終わり、いよいよ治療方針を決める段階になりました。
主治医からこう告げられました。
「先に抗がん剤をしますか?それとも手術を先にしますか?」

治療法を、自分で決めなければならないなんて──その時まで知りませんでした。
どちらを選ぶかは私次第…そう言われましたが、すぐに答えは出せませんでした。

私は、思わず先生に尋ねました。
「奥様が同じ状況だったら、どちらを選びますか?」
先生は少し考えた後、「僕なら術前抗がん剤を選びます」と。
それでも、私の心の中は揺れたままで、どうしても決断することができませんでした。
今の私には、治療法は選べないよ……。
それでも、少し時間をかけて、自分の気持ちと向き合うことにしました。
この選択は、これからの人生にも関わる大切な決断だから。
検査の目的は正確に知ること
乳がんのタイプ、がんの大きさ、転移の有無。
それらを把握することが、今後の治療を決めるための重要なステップです。
主治医は、あなたのタイプに合った治療を選ぶために、この検査結果をもとに判断をしていきます。
「なぜこんなに検査が多いの?」と思う日もあるかもしれません。
でも、その一つひとつが、これからの治療を支える大切な準備なのです。

次から次へ検査ばかりの日が続きました。
3.トリプルネガティブ乳がんとは?知っておきたい基礎知識
「トリプルネガティブ乳がん」と聞くと
「悪性度が高い」「再発しやすい」といった言葉が思い浮かぶかもしれません。
私も最初にその名前を聞いたときは「とても怖いがんなんだ」と感じ、不安で眠れない夜を過ごしました。
でも、正しい知識を知ることで、不安は少しずつ「理解」へと変わっていきます。
一般的には、乳がんは次の3つの因子(受容体)の有無によって治療方針が決まります。
| 受容体名 | 働き | 陽性の場合の主な治療 | 
| エストロゲン受容体 | 女性ホルモン(エストロゲン)でがんが増えるタイプ | ホルモン療法 | 
| プロゲステロン受容体 | もう一つの女性ホルモン(プロゲステロン)で成長するタイプ | ホルモン療法 | 
| HER2(ハーツー) | がんの増殖を促すたんぱく質 | 分子標的治療(抗HER2薬) | 
トリプルネガティブ乳がんとは?

乳がんは「がん細胞がどんな特徴(タイプ)を持っているのか」でいくつかの種類に分けられます。
その特徴を調べることで、最適な治療法を選ぶことができます。
この3つの受容体がすべて陰性(ネガティブ)なのがトリプルネガティブ乳がん
(Triple Negative Breast Cancer)TNBCです。
つまりこのタイプは、ホルモン療法も分子標的薬も効かないため、
抗がん剤治療が中心の治療になります。
進化する治療法〜希望を持てる時代に

以前は「トリプルネガティブ乳がんは治療法が限られている」と言われていました。ここ数年で治療の選択肢は確実に増えています。
代表的なのが、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボやキイトルーダなど)を使った治療。
従来の抗がん剤と併用することで、効果が高まるケースも報告されています。
さらに、再発予防や転移抑制を目的とした臨床試験(治験)も国内外で進んでいて
「トリプルネガティブ乳がん=治らない」という時代ではなくなりつつあります。
今は、医師と一緒に治療方針を話し合いながら、
あなた自身が納得できる治療を選べる時代です。
焦らず、希望を持って次のステップへ進んでくださいね。

あなたの乳がんのことを、いちばん理解してくれているのは主治医です。信頼できる先生と一緒に考えていきましょう。
治療法が限られていた時代を知っているからこそ、今の希望を伝えたいと思います。
さいごに
トリプルネガティブ乳がんと聞くと、最初は誰もが不安になります。
でも、医療は確実に進歩し、治療の選択肢も広がっています。

そして何より、あなたは一人ではありません。
同じ経験をした私たちが、ここにいます。
どうか希望を持って、自分のペースで歩んでくださいね。
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トリプルネガティブ乳がんを経験したサバイバー。
現在は家族の闘病を支えながら、がんとの向き合い方や日々の想いを
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