【第34話】高額療養費制度だけでは見えなかった出費|がん治療中、保険に支えられた3つの場面

乳がん体験記

がん治療中、本当にかかったのは治療費だけではありませんでした

きゃんばぁば
きゃんばぁば
乳がんと診断された時、最初に頭をよぎったのは「これからの命」のことでした。けれど、治療の準備が始まると、もう一つ大きな不安が押し寄せてきました。それが「お金」のことです。

「高額療養費制度があるから、治療費は何とかなるはず」

最初はそう考えていました。

けれど実際には、制度の外側にある出費が少しずつ積み重なっていきました。

治療中の通院にかかった交通費を記録した家計簿風のメモ

通院にかかる交通費も、治療中の生活を支えるために必要な出費でした。

  1. 通院にかかる交通費。
  2. 体がだるくて、どうしても歩けなかった日に頼ったタクシー代。
  3. 脱毛に備えて、自分の心を守るために準備した医療用ウィッグや帽子。
  4. そして、食欲がない時でも「これなら食べられる」と選んだ、体に優しい食材や栄養補助食品。

どれも治療費とは別に必要になった、「生活を続けるための出費」でした。

病院の領収書や交通費、ウィッグの資料を前に治療費以外の出費を確認する

治療費以外にも、生活を続けるための出費が少しずつ積み重なっていきました。

ひとつひとつを切り取れば、日常の延長にある出費かもしれません。

でも、思うように仕事ができず、収入が不安定になる中で、次々と押し寄せるこれらの出費は、想像以上に私の心を圧迫していきました。

「がん保険には入っているけれど、これだけで足りるのかしら……」

最初はそんな不安もありました。

実際に給付金という形でまとまったサポートを受け取った時、真っ先に感じたのは、

「これで、今の自分に必要なものを我慢しなくていいんだ」

という安堵感でした。

お金の心配を一旦脇に置けたことで、治療に向き合う気持ちを少し保てたことを、今でも覚えています。

今回は、私個人の体験として、「がん治療中に保険が支えになった3つの場面」をお話しします。

❶ 交通費:体力を守るために「移動手段」を選べるゆとり

きゃんばぁば
きゃんばぁば
普段なら電車やバスで数百円。でも、治療中の体には、その「数百円の距離」がとてつもなく遠く感じることがありました。

満員電車で立っていることさえ、あの時は大きな挑戦だったんです。

抗がん剤治療や放射線治療が始まると、病院へ通うこと自体がひと仕事になります。

特に抗がん剤の投与後は、体に強いだるさや、ふらつきを感じることもありました。

そんな時、一番辛かったのは「公共交通機関での移動」です。

混雑した車内で立っていなければならない状況や、駅の階段の上り下り。

普段なら何てことのない移動が、治療中の体には大きな負担となり、時には「無事に家に帰り着けるかしら」と不安になることもありました。

だからこそ私は、無理をせず「タクシーを使う」という選択をしました。

治療後の体調を考えて病院前からタクシーに乗る50代女性の漫画

タクシー代は、私にとって体力を守るために必要な出費でした。

  • 1回の通院で約5,000円。
  • 週に何度か続けば、それだけで1万円、2万円という出費に。

家計を考えれば、決して小さくない金額です。

けれど、がん保険の給付金という備えがあったからこそ、

「今は体力を優先していいんだ」

と、自分に許可を出すことができました。

治療費とは別に、「病院にたどり着き、無理なく帰宅するための費用」が必要になる。

その時の私にとってタクシー代は、単なる移動費ではなく、体調を優先するために必要な出費だったのだと感じています。

❷ ウィッグ代:自分らしさを守るために必要だった出費

きゃんばぁば
きゃんばぁば
髪が抜け始めた時、覚悟していたはずなのに、心が追いつきませんでした。

鏡を見るのが怖くなった私を、外の世界へ連れ戻してくれたもののひとつが、ウィッグでした。

鏡の前で医療用ウィッグを手に取り、自分らしさを取り戻そうとする女性の漫画

ウィッグは、外見だけでなく心を支えてくれる大切な存在でした。

抗がん剤治療が始まってしばらく経った頃、髪の毛が少しずつ抜け始めました。

いつかその日が来ると覚悟はしていましたが、実際に排水口に溜まる髪や、枕についた髪を目の当たりにすると、言葉にできないほどの喪失感に襲われました。

「病気を治すためだから」

そう自分に言い聞かせても、鏡に映る自分の姿を受け入れるのは簡単ではありませんでした。

外出しても人の目が気になり、ふさぎ込みがちになっていた私を支えてくれたのが、医療用ウィッグでした。

私が選んだのは、見た目の自然さだけでなく、フィット感や通気性にもこだわった約15万円のものです。

「ウィッグに15万円……」

最初は、正直とても迷いました。

でも、この出費は私にとって、単なる「髪型の代用品」を購入することではありませんでした。

「自分らしくありたい」
「少しでも前を向いて治療に向き合いたい」

そんな気持ちを支えてくれる、心を守るための選択だったのだと思います。

がん保険の給付金があったことで、必要だと思うものを選ぶ時に、少し気持ちの余裕を持つことができました。

納得のいく選択ができたことで、外見だけでなく、心の安定も少し守られていたように思います。

あの時、自分をいたわる選択ができたことに、今でも感謝しています。

私が選んだ医療用ウィッグ

私が選んだ医療用ウィッグ。今もお手入れをして大切にしています

❸ 食事・栄養補助食品:体調に合わせて食事を整えるための出費

「しっかり食べて、体力を落とさないようにしましょう」

きゃんばぁば
きゃんばぁば
治療中、医療スタッフの方からかけてもらったその言葉は、私にとって大きな支えでした。

でも、実際には思うように食べられない日もありました。

だからこそ、食べられる時に、少しでも自分に合うものを選びたいと思うようになりました。

乳がんの治療中は、食欲が落ちたり、味覚が変わったりすることがありました。

体がだるくて、キッチンに立つことさえしんどい日もありました。

それでも、少しでも体力を落とさないようにしたいという思いがあり、日々の食事にはこれまで以上に気を配るようになりました。

以前の私は、スーパーで少しでも安い食材を選ぶことが多くありました。

でも治療中は、その時の体調に合わせながら、食べやすいものや、栄養をとりやすいものを選ぶようにしていました。

治療中に意識していた食事は、たとえば次のようなものです。

治療中に意識していた食事
  • 消化が良く、食べやすいもの
  • 栄養をとりやすい食品
  • 無理をしないためのお惣菜や冷凍食品
  • 食欲がない時のための栄養補助食品やスムージー
  • その時の体調に合わせて食べられるもの

栄養補助食品やスムージーを買う日が増え、普段より食費が高くなる月もありました。

自炊できない日はお惣菜や冷凍食品に頼ることが増え、節約よりも「食べられること」を優先しました。

治療中の体調に合わせて栄養補助食品や食べやすい食品を選ぶ女性の漫画

治療中は、節約よりも「食べられること」を優先する場面がありました。

以前の私なら、

「少し高いかな」
「節約した方がいいかな」

と、ためらっていたかもしれません。

でも、治療中の私にとって一番大切だったのは、「食べられる時に、食べられるものを口にする」ことでした。

節約よりも体調を優先する。

そう決めるまでにも、私の中では小さな葛藤がありました。

この時、がん保険の給付金があったことで、食費を切り詰めることばかりを考えずに済みました。

もちろん、保険があったからすべての不安がなくなったわけではありません。

それでも、食べられるものを選びやすくなったことは、治療中の生活を支える大きな安心につながりました。

「ちゃんと栄養をとる」

その当たり前のことを続けるためにも、お金の備えは大切だったのだと、今振り返って感じています。

バランスの良い食事の写真

治療中は、体調に合わせて食べられるものを選ぶようにしていました。

さいごに:がん保険は「お金の備え」だけでなく「心の支え」でした

きゃんばぁば
きゃんばぁば
がんと診断されたあの日、私の心は不安でいっぱいでした。

がん治療の道のりの中で、私は何度も「お金」という現実に直面しました。

治療そのものの費用だけでなく、通院のための交通費、体調に合わせて使ったタクシー代、医療用ウィッグ、食事や栄養補助食品など、治療費以外にもさまざまな出費がありました。

ひとつひとつは必要な出費でも、積み重なると大きな負担になります。

特に治療中は、体調の変化だけでなく、収入面への不安も重なり、お金のことを考える時間が増えていきました。

そんな中で、私にとってがん保険の給付金は大きな支えでした。

もちろん、保険があったからといって、不安がすべて消えたわけではありません。

  • それでも、必要な時に必要なものを選べること。
  • 体調に合わせて移動手段を選べること。
  • 自分に合う医療用ウィッグを準備できたこと。
  • 食べられるものを、少しでも安心して選べたこと。

そのひとつひとつが、治療中の私の心を支えてくれていたように思います。

保険の書類や通院用品を見ながら、治療中の備えに安心する女性の漫画

保険の給付金は、治療費だけでなく生活と心を支える備えでもありました。

がん保険は、治療費のためだけのものではありませんでした。

私にとっては、治療中の生活と気持ちを守るための備えでもありました。

今の保障内容がよく分からない方や、長く見直していない方は、一度確認しておくと安心です。

無理に何かを決めるためではなく、まずは「今の自分にどんな備えがあるのか」を知ること。

それだけでも、もしもの時の不安を少し軽くしてくれるかもしれません。

今回は、給付金が実際にどんな場面で助けになったのかをお話ししました。

では、私が振り返って「がん保険に入っていてよかった」と感じたのは、どんな時だったのか。

次の記事では、私が実際に「がん保険に入っていてよかった」と感じた6つの場面をまとめています。

がん保険に入っていてよかったこと6選はこちら👇

この記事を書いた人

きゃんばぁば|乳がんサバイバー/家族の闘病サポーター

乳がんを経験。治療を経て、妹の膵がんや夫の食道がんを家族として支えた実体験をもとに、「患者と家族の視点」で記事を書いています。

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乳がんの経験や、夫の闘病を支えながら感じた日々の想いを発信しています。

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※本記事は、筆者自身の体験と調査をもとにまとめたものです。
医療に関する内容は一般的な情報であり、すべての方に当てはまるとは限りません。
治療方針やお薬の使用については、必ず主治医などの専門医にご相談ください。
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