夫がいなくなってから、いちばん思い出すのは何でもない平日の朝

私の時間

今年の7月に、リビングのカーテンををバーチカルブラインドに替えました。

夫を手元供養している場所に、朝の光が入るようにしたかったからです。

以前は遮光カーテンだったので、開けるまで部屋は真っ暗でした。

ブラインドなら、羽根の角度を変えるだけで、やわらかい光が入ってきます。

夫にも、この光が届いていたらいいな。

そう思って、バーチカルブラインドに決めました。

夫はもういません。

それでも、朝の光の中で、どこか近くにいるように感じることがあります。

そんなことを思うのが、今の私の朝です。

白いバーチカルブラインド越しに朝の光が差し込む窓辺

静かな朝、窓辺が少しずつ明るくなっていく時間。

「おはよう」と言う相手が、写真になりました

起きたら歯を磨き、着替えて身だしなみを整えます。

そして朝食の前に、手元供養している場所の前で、立ったまま手を合わせます。

夫の写真が、ちょうど目に入る高さにあるからです。

そこには、夫の写真が三つあります。

一つは、夫が初めて自分のお金で買ったスカイラインの前で笑っている写真。

もう一つは、最後に行った淡路島のホテルニュー淡路で、朝日を見ながら露天風呂に浸かっている夫の後ろ姿。

そして、遺影の写真です。

その日の気分で一枚を選び、「おはよう」と声をかけます。

朝の光が入る部屋で三つの写真立ての前に立つ女性のイラスト

静かな時間の中で、心をそっと整えるひととき。

スカイラインの前で笑っている写真を見ると、この車で二人でよくドライブに出かけたことを思い出します。

よく冗談を言って、私を笑わせてくれた頃の夫です。

写真を見ると、その頃の夫が少し近くに感じられます。

夫がいなくなって、一人で食べる朝ごはん

夫も私も、朝はパンとコーヒー。

私はホットコーヒー、夫はアイスコーヒーでした。

夫は自分のアイスコーヒーを買ってきて、自分で用意していました。

仕事のある日は夫が先に食べ、私はあとから。

一人で朝ごはんを食べていると、夫がキッチンでアイスコーヒーを用意している姿を思い出すことがあります。

そんなとき、「あのとき私は何をしていたんだろう」と思います。

たぶん、身支度をしていたか、トイのお世話をしていたか、そんなところです。

休日には、夫が朝ごはんを作ってくれることもありました。

ピザトーストと卵料理。

私が「美味しい」と言うと、夫は嬉しそうでした。

朝食をとる女性のまわりに夫との思い出の場面が浮かぶイラスト

何気ない日々のひとこまが、時間を越えて心に残っています。

もっと毎日、一緒に食べればよかったな。

毎日違う朝ごはんを用意してあげればよかったな、と。

夫がいた頃には考えなかったことを、一人になってから考えるようになりました。

今は、好きな音楽を聴いたり、YouTubeを流したりしながら、ゆっくり食べています。

静かすぎる朝を少し紛らわせたくて、音楽を聴いているのかもしれません。

一人になっても変わらない朝の習慣

朝ごはんが終わると、まず洗濯機を回します。

その間にベランダを掃除し、トイレと洗面所を整えます。

掃除機をかける前には、トイのお世話。

ブラッシングをして、目薬をさし、歯を磨いて、最後におやつをあげます。

そのあと掃除機をかけ、床を拭きます。

ひと通り終わる頃には洗濯も終わるので、最後に洗濯物を干します。

だいたい1時間半。

この流れは、夫がいた頃から変わりません。

特に何かを考えて続けているわけではありません。

朝の家事は、私にとって一日の始まりなのだと思います。

家事を終えると、家の中も整い、気持ちもすっきりします。

朝の支度を終えた部屋で、愛犬とともに穏やかな時間を過ごす女性のイラスト

何気ない習慣の積み重ねが、今の暮らしの土台になっています。

この1時間半だけは、夫がいた頃と何も変わっていないからかもしれません。

変わったものと、変わらなかったものと

朝は、変わりました。

挨拶する相手は写真になって、一緒に食べる人もいなくなりました。

窓辺も、自分で変えました。

それでも、朝の家事の流れは何も変わっていません。

変わったものと、変わらなかったもの。

そのどちらもある朝を、私は毎日繰り返しています。

寂しさがなくなったわけではありません。

ときどき、「一人ぼっちになったな」「いろんなことを一緒に乗り越えてきた同志がいなくなったんだな」と感じることもあります。

夫が亡くなってしばらくは、いろいろな手続きに追われていました。

朝になると、「しっかりしなければ」と自分に言い聞かせていました。

そして、生きたかったはずの夫の分まで、私が生きていかなければ。
その思いは今も変わりません。

朝の光が差し込むマンションのリビングで、女性とチワワが窓辺に立ち、背後に三枚の夫の写真が飾られているイラスト

今日も、トイと一緒に迎える静かな朝。

これからは、夫を見送ってから変わっていった暮らしや気持ちを、少しずつ書いていこうと思います。


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この記事を書いた人 きゃんばぁば
乳がんを経験し、現在は「がん その先へ」をテーマにブログを書いています。
患者として、家族として、そして私として。
夫を見送ったあとの暮らしや、これからの生き方を、14歳の愛犬トイとの日々とともに綴っています。
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