恐る恐る面会に行ったICUでのこと

手術の翌日、私は夫が入っているICU(集中治療室)へ面会に行きました。
そこには、たくさんの管に繋がれている夫の姿がありました。
看護師さんが一人付き添ってくださっていて、夫の今の状態を丁寧に説明してくださいました。
恐る恐る声をかけると、思いのほか元気な声で「もう大丈夫や」と返ってきて、ほっとして胸を撫で下ろしました。
「痛みはある?」と聞くと「痛み止めの点滴が効いてるから大丈夫」とのこと。
「何か困っていることある?」と聞いてみると、
「背中が痒いから、孫の手持ってきて」とちょっと笑いながら頼まれました。

術後5日間ほど夫はICUで過ごしました。
帰る前には、看護師さんから「腹帯が汚れたので、洗ってきてください」とお願いされて、その日は病院を後にしました。
後から聞くと、夫は主治医から手術の説明もきちんと受けられたようで、安心しました。
ICUでの面会とその大切さ
ICU(集中治療室)は、手術直後などで、容態が不安定な患者さんを、24時間体制で見守る特別な病室です。

家族の面会も厳しく制限されていて、時間や人数にもルールがあります。
例えば、1回の面会は限られていて、1日あたり家族2名までといった決まりがあります。
こうした制限は、感染症の予防や患者さんの体調を守るための大切な配慮なんです。
夫がICU入って3日目のこと。

夫は、「娘たちがお見舞いに来てくれて嬉しかった」と言ってました。
娘夫婦が面会に来てくれました。
後から聞いた話では、面会時間の15分間夫は娘とずっと話しっぱなしだったそうで…。
その時間が、夫にとってどれだけ励みになったかと思うと、私も嬉しくなりました。
術後リハビリの始まり

手術を終えた夫は、少しずつリハビリを始めることになりました。
最初に取り組んだのは立ち上がる練習です。
でも、いざ立ち上がってみると血圧が下がってしまって、なかなか歩くことができず…。
そういう日がしばらく続きました。
そこで無理はせず、「まずは、座っている時間を少しずつ伸ばしていきましょう」と言われ、座る練習から始めることに。
それも立派なリハビリなんだそうです。

手術後のリハビリは、回復するために大切なんだそうです。
リハビリは、術後に体力や機能を回復させるための、とても大切な時間です。
特に、食道がんのような大きな手術を受けた場合は「食べること」「声を出すこと」「体を動かすこと」その全てに制限がかかるため、いろいろな専門家の先生たちのサポートが必要になってくるのです。
HCU(高度治療室)への移動と個室での生活
しばらくしてからICUからHCUへと移動。HCUでは個室が用意されており、より静かな環境で過ごせました。

病院から連絡があり、携帯や充電器などを持って行くと、夫は丁寧に管理されていて安心しました。
それから二日後に個室へと移りました。

手術後は、個室を予約して本当に良かったです。
そこで始まったのは、声を出す練習や体を動かすリハビリなど、本格的な回復への取り組みでした。
栄養士さんからの食事指導や、看護師さんからの腸ろう(人工的に腸から栄養を摂る仕組み)の使い方についての説明も受けました。
まさに、毎日が一歩一歩、回復へと向かう充実した時間だったように思います。
夫も「個室でよかった」と話してくれました。
夫のがんの費用や、ガン保険についてはこちらの記事をご覧ください。↓
退院までの道のり
術後の経過は順調で、少しずつできることが増えていく夫の姿を見るたびに、本当に嬉しくてたまりませんでした。
声を出すこと、体を動かすこと、栄養を摂ること…それぞれの専門家の力を借りながら、夫は、一歩一歩前に進んでいきました。

その姿を見て「人間の回復力って本当にすごいなぁ」と改めて感じさせられました。
そして手術前の入院から数えて17日目の日曜日。
ついに夫は、無事に退院することができたんです。
今回の入院では、本当に多くの医療スタッフに支えていただきました。
命を救うだけでなく「その人らしく生きていくため」にリハビリや生活のことまで丁寧に指導してくださった皆さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。
おかげさまで、自宅で安心して過ごせる準備ができて、無事退院日を迎えることができました。

次回は、自宅での療養についてお話しします。
私たち夫婦のがんについて、noteに気持ちを綴っています。noteはこちらから↓
