【妹の病気:第2話】膵がんステージ4の診断から在宅療養へ〜「治療はできません」と告げられた妹と家族の記録

妹の病気

妹が膵がんステージ4と確定し「根治治療は難しい」と告げられてから在宅療養を選ぶまでの心の動きと実務準備を、家族の視点でまとめました。

同じ状況で迷っている方に、現実的な選択肢と小さな希望が届きますように。

確定診断までの流れ

きゃんばぁば
きゃんばぁば

私は乳がんを経験し、昨年ようやく「完治」と言われました。
けれど安堵も束の間、今度は妹が膵がんと診断されたのです。
しかもステージ4

膵がんは「沈黙の臓器」と呼ばれるほど初期症状が出にくく、気づいたときには進行していることが少なくありません。

妹もそのひとりで、腸閉塞(ちょうへいそく)を起こしていたため、国際がんセンターに転院し、開腹での確認が行われました。

がんセンターの手術室(イメージ画像)

手術が終わる時間が早く嫌な予感がしました。

術中に見つかったのは腹膜播種(ふくまくはしゅ)。

お腹の中に、がん細胞が種をまいたように散らばっている状態でした。

その結果、妹は「膵がんステージ4」と確定しました。

※夫も食道がんでステージ4と告げられ、治療と向き合っています(家族の記録はこちら)。

突きつけられた現実

きゃんばぁば
きゃんばぁば

私たちはまだ「手術で治せるかもしれない」というわずかな希望を抱いていましたが、医師からははっきりと「手術はできません」「根治治療は難しいです」と告げられました。

胸が押しつぶされそうなほどの衝撃でした。

しばらく現実を受け止められず、「どうして妹が」と自問する日々が続きました。


妹の悲痛な言葉

バイパス術後もしばらく体調は戻らず、経口摂取はほとんどできませんでした。

ある日お見舞いに行くと、妹はお腹を押さえながらつらそうに歩いてきて、泣きそうな顔で訴えました。

病院の病棟の廊下(イメージ)

病棟の廊下をゆっくり歩く妹の姿が忘れられません。

妹はお腹を抑えながら、つらそうに歩いていました。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「お姉ちゃん、私、何か悪いことした? なんで私が…?

「何も悪いことなんてしてないよ。私たちみんな感謝しているよ」と答えるのが精一杯でした。

帰り道、涙が止まりませんでした。


ステージ4膵がんの症状(家族が感じた変化)

膵がんで見られやすい症状
  • 消化器症状:食欲不振、体重減少、吐き気、黄疸
  • 痛み:腹痛・背部痛、強い倦怠感
  • 転移による症状:肝転移・腹水・肺転移による息苦しさ

妹も、吐き気や腹痛に苦しみ、歩行もやっとの状態でした。

それでも「家に帰りたい」という気持ちは揺らぎませんでした。

妹の願いは「家に帰りたい」

きゃんばぁば
きゃんばぁば

妹が選んだのは、病院ではなく自宅で過ごすこと。
白い壁の病室より、家族のそばで安心して暮らしたい…
その思いを叶えるために、在宅療養の準備を整えました。


在宅療養の始まり

抗がん剤治療はがんセンターで継続し、それ以外は在宅医療の医師や看護師に支えてもらう形に。

在宅療養の患者に点滴をする医師の写真(イメージ)

「家で診てもらえる」という安心感は家族の支えにもなりました。

自宅に戻った妹は、果物をひと口食べられたことを嬉しそうに話し、家族との何気ない会話を楽しみました。

そんな小さな出来事が、かけがえのない時間になっていきました。

在宅医療の現実と意味

きゃんばぁば
きゃんばぁば

在宅医療は決して楽ではありません。
症状ケア、急変への不安、家族にかかる負担は大きい…
それでも妹は「家にいられるだけで幸せ」と言いました。

 

在宅療養は、病気と向き合う場所であると同時に、愛する人との時間を取り戻す場所

家族の覚悟と支えがあってこそ成り立つのだと実感しました。


よくある質問(Q&A)

本Q&Aは
家族の体験に基づく一般情報です。
診断・治療は必ず主治医にご相談ください。
Q1. 「手術はできません/根治治療は難しい」と告げられた直後、家族は何から始めれば良い?
A. まずは主治医に治療の目的(延命/症状緩和)と選択肢、期待できる効果・副作用、在宅/入院の切り替え条件を具体的に確認。
必要に応じて緩和ケアチームや在宅医へ早期に相談します。
Q2. 在宅療養に切り替えるメリットと注意点は?
A. メリットは自宅で過ごせる安心感と、家族と過ごす時間の最大化。
注意点は症状変化への即応と家族の負担。
訪問医・訪問看護・薬局・必要なら介護サービスを事前にチーム化しておくと不安が減ります。
Q3. 在宅療養の準備で最低限そろえておくものは?
A. 連絡先一覧(訪問医・看護・薬局)、体温計・血圧計、処方薬の保管トレイ、吐物用ビニール・消毒用品、吸水シート、必要に応じて介護ベッドやポータブルトイレ。
詳細は次話の
【妹の病気:第3話】(在宅療養の痛みコントロールと家族のサポート)
で触れています。
Q4. 痛みが強い日に、家族がまずできることは?
A. 指示どおりの鎮痛薬の内服/貼付を確認し、痛みの強さ・出現時刻・誘因をメモ。
改善しない、または急激に悪化する場合は、ためらわず訪問医・看護へ連絡します。
Q5. どんな症状が出たら「すぐ連絡/受診」の目安?
A. 強い持続痛、嘔吐の持続、発熱、黄疸の進行、急な息苦しさ、意識の変化、脱水が疑われるときなど。
迷ったら連絡して指示を仰いでください。
Q6. 「家に帰りたい」という本人の希望と、安全面の両立は可能?
A. 可能です。
在宅医療チームとケアプランを共有し、訪問頻度・連絡体制・緊急時の搬送方針を事前に合意すると、安心して希望を叶えやすくなります。
Q7. 家族のメンタル負担が大きいとき、どう向き合えばいい?
A. 完璧を目指さず、役割を分担して休息を確保。
地域の相談窓口や患者会の活用、短時間のレスパイト(介護休息)も選択肢です。
体験記は
【夫の病気:第2話】(家族の記録)
でも触れています。
Q8. 腹膜播種と聞いたが、画像だけで分からないことがあるの?
A. あります。
画像では判断が難しい場合があり、手術で初めて確定することもあります。
本記事でもその経緯を記録しています。
Q9. 抗がん剤は在宅でも続けられる?
A. レジメンや全身状態によります。
多くは通院での投与+在宅での体調管理の併走が一般的です。
可否は主治医と相談しましょう。
Q10. 本人が食べられない日が続くとき、家族はどう支える?
A. 無理に食べさせず、少量・高エネルギー・口当たりの良いものを提案。
水分・口腔ケアの確保と、摂取状況のメモが医療者の助けになります。
急な悪化は連絡を。

診断から在宅医療を振り返って

ステージ確定までにCT・MRI・PETなど多くの検査を受けましたが、腹膜播種は画像だけでは分かりにくく、開腹で初めて「ステージ4」と確定しました。

膵がんステージ4の統計は厳しい数値を示しますが、実際には個人差が大きく、治療内容や体調によっても異なります。

私たちができたのは、「少しでも一緒に過ごしたい」という願いを大切にすることでした。

それが在宅療養を選んだ大きな理由です。

※本記事は私と家族の体験をもとに記しています。治療法や経過は人によって異なりますので、必ず主治医にご相談ください。

 

続きのこちらから↓

 

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この記事を書いた人
きゃんばぁば|乳がんサバイバー/家族の闘病サポーター
乳がんを経験し完治。妹の膵がんや夫の食道がんを家族として支えた実体験をもとに、
「患者と家族の視点」で記事を書いています。
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