想像以上に大変な日々

夫が退院してからの生活は、想像していた以上に大変でした。
抗がん剤の治療の時とは全く異なり、日常生活の一つひとつに工夫や我慢が必要になりました。
想像以上に大変だと実感した理由は、主に次の4つがあげられます。
❶上体を起こして眠る日々
❷腸ろうでの栄養補給
❸術後の痛みとの戦い
❹食べることの苦しさ
ではそれぞれについて詳しくご説明しますね。
大変な理由❶上体を起こして眠る日々

退院して最初に工夫したのは「眠る姿勢」でした。
胃を食道の代わりとして使っているため、水平に眠ると胃酸が逆流してしまいます。
そのため、専用のマットを使って上体をしっかりと起こし、角度をつけて休むことがとても大切なのです。

退院まえに用意しておいて本当によかったマット
この工夫のおかげで咳も出にくくなり、胃酸の逆流も抑えられ、落ち着いて眠れるようになりました。
退院前に「逆流性胃腸炎防止マット」を購入しておいたのは、本当に良い判断だったと思います。
これからも欠かせない大切なアイテムです。
大変な理由❷腸ろうでの栄養補給

もうひとつ大きな変化が「腸ろう」による栄養補給です。
腸ろうとは、お腹に小さな穴を開け、そこから管を通して小腸に直接栄養を送る方法のこと。
食べ物を口から十分に摂れないときに、体に必要な栄養を届けるための大切な手段です。
1回の栄養補給には約2時間かかり、これを1日2回行います。

これが腸ろうの容器で、この栄養剤が直接体に入っていきます。
腸ろうがついている間は湯船にも入れず、管が抜けないようにテープを貼り替えたり、清潔に保つことも欠かせません。
また、体の中の管が詰まらないように、お酢と水を流す作業もとても大切です。
幸い、夫はこれらの作業を自分でこなしてくれているので、私はとても助かっています。
それでも、腸ろうの管理は思った以上に手間がかかるため、夫はよく「早く外したいな」と口にしています。
大変な理由❸術後の痛みとの戦い

一日中続く痛みに、夫は「痛みさえとれたらなぁ」と毎日のようにこぼします。
大きな手術だったからこそ、きっと想像を絶する痛みなんだろうと思いながらも、私には何もしてあげられません。
「どんな感じ?」と聞くと、夫は「お腹に板が1枚入っているように感じて、ズキズキする痛みかな」と答えてくれました。
それを聞いても私は、ただそばで見守ることしかできないのです。
術後初めての診察でそのことを主治医に伝えましたが、「痛みはみんな感じているから…。」との返答でした。
処方していただいた痛み止め(カロナール)も残念ながらほとんど効果がありませんでした。
「この痛みさえなければ、普通に暮らせるのに」
と夫は毎日のようにつぶやきます。
その度に私は胸が苦しくなり
「この痛みはいつまで続くのだろう…」と考えてしまうのです。
大変な理由❹食べることの苦しさ
食道がんの手術では、食道の上部をほんの少しだけ残し、それ以外を全て切除します。
その後、残った食道と胃をつなげて「胃菅(いかん)」と呼ばれる形で再建されます。
この手術の影響で、術後しばらくの間はほとんど食事を摂ることができません。
やっと食べられるようになっても、以前の半分ほどの量しか受けつけられないことが多いです。
一口ひとくちに神経を使い、食後の体調も気を配らなくてはならず、
「食べること」がこんなにも大変なのだと、あらためて実感しています。
退院後の食生活
夫が退院してからしばらくは、消化にやさしい食事を心がけていました。
朝は食パンを半分だけ。そして少しのおかず…。
あるいは、おかゆやおじやなど、体に負担の少ないものを少しずつ用意しました。
特によく作っていたのは、お豆を入れた野菜スープです。

朝食、食パン半分、ヨーグルト、にんじんジュース、野菜スープ
これが本当に大活躍で、体調が不安定な日も、安心して食べられるメニューでした。
さいごに
夫が日々、工夫を重ねながら「食べる」ということに真剣に向き合う姿を見ていると、
これまで、当たり前だと思っていた「食事のありがたさ」を、私自身もあらためて感じるようになりました。
毎日が小さな挑戦の連続ですが、焦らず、無理をせず、
その日の体調と相談しながら、歩んでいけたらと思っています。

この続きの記事は次にブログかnoteでお話ししますね。
読んでくださり、ありがとうございました🙇
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