【第5話】乳がんの告知を家族にどう伝える?子どもや友人に話すとき悩んだこと

乳がん体験記
※この記事は、私自身の乳がん体験をもとに書いています。家族や友人への伝え方に、決まった正解があるわけではありません。相手の年齢や性格、ご自身の心の状態によって、伝え方は変わってよいものだと思います。不安が大きいときは、ひとりで抱え込まず、医療者や相談窓口の力を借りながら、無理のない形を選んでください。

乳がんの告知。私が「家族会議」をやめた理由

乳がんと告知されたあと、私が最初に悩んだことのひとつが、「家族や友人に、病気のことをどう伝えるか」でした。

夫には状況を共有していましたが、子どもたちへどう伝えるかは、私の中でも大きな悩みでした。

最初は、家族全員を集めて「家族会議」のような形で一斉に話そうかとも考えました。

しかし、よく考えてその方法はやめました。

乳がんの告知後、家族への伝え方に悩みながらリビングで考え込む50代女性のイラスト

家族全員に一度に話すのか、一人ずつ伝えるのか。告知後の私は、まずそこから悩みました。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

「一斉に伝えてみんながショックを受けたとき、今の私にそれを一人で受け止めきれるだろうか……」

そんな不安があったからです。

それに、子どもたちはそれぞれ年齢も性格も違います。

受け止め方も、それぞれ違うはずです。

だからこそ、一人ひとりの状況に向き合い、その子に合った言葉で個別に伝える決断をしました。

一斉に話すことが合うご家庭もあれば、私のように個別に話す方が合う家族もいるのだと思います。

子どもたち一人ひとりに合わせた言葉選び

個別に伝えるにあたり、私は子どもたちの顔を思い浮かべながら、慎重に言葉を選びました。

娘には、事実だけをなるべく淡々と伝えるように心がけました。

彼女は当時、国家試験を控えた大切な時期でした。

「私の病気のことで、あなたの人生の歩みを止めてほしくない」

それが母としての強い願いだったからです。

国家試験を控えた娘に、乳がんのことを静かに伝える母親のイラスト

娘の人生を止めたくない。その思いがあったからこそ、私は言葉を慎重に選びました

娘は静かに話を聞いてくれました。

落ち着いて受け止めてくれたように見えましたが、心の中ではきっと不安もあったと思います。

離れて暮らす上の息子には、電話で伝えました。

離れて暮らしているからこそ、見えないところで必要以上の不安や重荷を背負わせたくありませんでした。

「乳がんの治療を始めることになったけれど、大丈夫だから。何かあれば、ちゃんと連絡するね」

そう明るく伝えながらも、電話を切ったあと、「本当は、私の方が大丈夫じゃなかったのかもしれない」と、ふと思うことがありました。

離れて暮らす息子に電話で乳がんを伝えたあと、スマートフォンを手に静かにうつむく母親のイラスト

「大丈夫」と伝えたあとで、本当は自分の心が一番揺れていたことに気づきました。

思春期の息子への告知と、残った不安

一番悩んだのは、当時思春期だった息子への伝え方です。

多感な時期であり、どう受け止めるか想像もつきませんでした。

言葉を選び、病気のことを伝えた直後。

息子は突然、大雨が降る外へと飛び出してしまいました。

息子に乳がんを伝えたあと、一人リビングに残されて動けなくなる母親のイラスト

伝えたら終わりではなく、伝えたあとにも不安と後悔は残りました。

きゃんばぁば
きゃんばぁば

息子が出ていったあと、私はしばらくその場から動けませんでした。

「伝えたら少しは楽になるかもしれない」とどこかで思っていたのに、残された部屋で一人、胸は苦しさでいっぱいでした。

良かれと思って言葉を選んでも、相手の反応をすべて受け止めきることは、簡単ではありませんでした。

伝えたあとも、「これでよかったのだろうか」という不安と後悔が、私の心には重く残りました。

友人への報告。会いたい気持ちと、自分の心を守る選択

家族への告知と同時に悩んだのが、友人への報告でした。

心配して声をかけてくれる友人がいることは、本当にありがたいことでした。

本当は嬉しかったし、私も会って話を聞いてほしかった。

でも、その一方で、病気を抱えた自分を見せることへの戸惑いがあり、「会えない」と断る自分に対して罪悪感も抱きました。

ありがたいのに、会えない。

そんな矛盾した自分に戸惑いながらも、最終的に私は、「治療が終わるまでは会わない」と決めました。

友人からの連絡を見つめながら、会いたい気持ちと会えない気持ちの間で揺れる女性のイラスト

心配してくれる気持ちはありがたい。それでも、会えない時期が私にはありました。

あのときの私は、自分自身の心を守るので精一杯だったのです。

病気を受け止めきれなかったのは、私だけではありません。

あとから、夫が親友に泣きながら電話で話していたと聞きました。

それほどまでに、夫もまた、私の病気を一人では抱えきれなかったのだと思います。

妻の乳がんを受け止めきれず、親友に電話で涙ながらに話す夫のイラスト

病気を告げられたのは私でした。でも、支える家族の心もまた、大きく揺れていました。

私が家族にどう伝えるか悩んだように、支える家族自身もまた、見えないところで苦しみ、必死に現実と向き合おうとしていたのです。

伝え方に正解はない。それぞれの反応を受け止めて

病気を伝えることは、とても勇気のいることでした。

うまく伝えられなくてもいいですし、相手の思ってもみなかった反応に傷ついたり、後悔したりしても、それは自然なことだと思います。

きゃんばぁば
きゃんばぁば
相手を思う気持ちは大切ですが、それと同じくらい、自分の心を守ることも大切です。
乳がんを家族に伝えるときの迷い、子どもたちの反応、母親の心の揺れを描いた4コマ漫画

伝え方にも、受け止め方にも、ひとつの正解はありませんでした。

焦ってすべてを話そうとしなくてもいい。

すぐに全部を話せなくても、今の自分に伝えられることからでいいのです。

あなたと家族に合った伝え方を、少しずつ探していけばいいのだと思います。

伝えることは終わりではなく、家族それぞれの心が動き始めるきっかけでもありました。

告知を経て、さまざまな感情を抱えながら、私と家族は今度「治療」という現実に向き合っていくことになりました。

次のお話では、告知を終えたあと、いよいよ始まった治療と、その中で揺れ動いた私や家族のことについてお話しします。
▼ 次のお話(第6話)はこちらから↓


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この記事を書いた人きゃんばぁば|乳がんサバイバー/家族の闘病サポーター

乳がんを経験し、経過観察を経て完治。妹の膵がんや夫の食道がんを家族として支えた実体験をもとに、「患者と家族の視点」で記事を書いています。

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